太もも裏(後ろ)側を柔らかくするには自分にあったストレッチ方法を

太ももの後ろ(裏)側のストレッチは、一般的にもよくされています。
例えば、座りながら足をそろえて身体を前に傾けるいわゆる『前屈』という動作です。
他には、小学生の時の体力測定の柔軟性を評価する項目で
- 立位体前屈
- 長座位体前屈
などがありましたね。
あれで硬い人って、太ももの後ろ(裏)側が硬いっていうよりは、腰も股関節も足首も硬い人が多い気がして実際
「あれって太ももの後ろ(裏)側を伸ばしているの?」
と聞かれそうなくらいのポーズですね。
伸びている感覚としては『膝裏』や『腰』にすごい感じたような記憶があります。
患者さんに『柔軟性について』質問するとき、
「身体の柔軟性についてはあるほうですか?人並みですか?」
なんて質問の仕方してもピンとこない返事しか返ってこないので時間の無駄になっちゃいますが
「立って床に手をつけることってできますか?」
と聞くと、だいたいの方はやらなくても
「ギリギリ付くくらいじゃないかな?」
「絶対床になんか付かないわ」
などとこたえてくれますので、目安をすぐ立てることができます。
それだけ、どなたにも『柔軟性の指標』とするだけの印象がある動作ですね。
逆に、前屈の柔軟性を改善できると患者さんの満足度も高くなります。
では、
「この前屈をひたすら根性でやってたらいいんじゃないの?」
と思われるかもしれませんが、それは違います!
確かに、それでも柔軟性は向上しますが、
- ただただつらい
暴風雨を逆らうようにゴールに向かってただ突き進むような感じですよね。
実際、あの体前屈やってるときに伴う苦痛がきついから続けようっていう意欲が毎回削がれます。 - スマートじゃない
同じゴールを目指すにもわざわざ茨の道を歩まなくても、その方にあった種目を選び指導することで苦痛が少なく効果を上げるようにできます
ことから、指導する立場としては最適な方法を選べるようになれる必要があるとは思いませんか?
そのためには、太ももの後ろ(裏)側をストレッチする
いろいろな方法を知る必要がある
種類ごとの特性を把握する必要がある
などの知識を得るべきだと思います。
そこで、こちらでは
『太ももの後ろ(裏)側』
の筋肉をストレッチするいろいろな方法を紹介していきたいと思います。
太ももの後ろ(裏)側の主な筋肉
前屈動作ができないのに、1番関係ある筋肉はといえば
『ハムストリング』
だと考えておいてよいのではないでしょうか?
『ハムストリング(hamstring)』は、筋肉群の総称(グループ名)になり、
- 半腱様筋(はんけんようきん):semitendinosus muscle
太ももの裏側の内側にある筋肉で名前から推測されるように膝に近いところは腱のようになっています。
腿の裏の内側を触って踵をお尻に近づけようと力を入れたときにピンと張る筋があるのが確認できます。 - 半膜様筋(はんまくようきん):semimembraneous muscle
半腱様筋と似たようなところを走行していて、こちらは平べったい膜のような形をしています。 - 大腿二頭筋(だいたいにとうきん):biceps femoris muscle
太ももの外側にある筋肉で、
・長頭(ちょうとう)
・短頭(たんとう)
の2本あります。
太ももの外側を触った時にこちらもピンと張る腱を確認できます。
がその構成する筋肉となります。
この筋肉の柔軟性をいかにつけるのかってところがポイントになってきます。
では、実際にそのストレッチの方法について紹介していきましょう!
長座位でのストレッチ
では、まず長座位でのストレッチからです。
これは、同様の動きがヨガのポーズでは
『パスチモッターナアサナ』
という名称であります。
この『ポーズ』の方法も参考にしてより良い方法で指導できるようになりましょう!
- 長座位で座ります。
- 背筋をしっかり伸ばします。
- 坐骨(椅子に座った時にシートに当たる骨のでっぱり)をできるだけ後ろに引きます
- へそが太ももに近づくように身体を傾けます。
このとき顔から足に近づいて背中が丸くなってはいけません。
背筋を伸ばしたまま前屈することを大切にし、身体を前に倒す量を気にしてはいけません。
- 自分がいけるところまでいったらその場所で20秒止まります
- ゆっくり身体をおこしましょう!
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立位でのストレッチ
次には、立位体前屈のようにします。
これは、同様の動きがヨガのポーズでは
『ウッターナアサナ』
という名称であります。
この『ポーズ』の方法を参考にしてより良い方法で指導できるようになりましょう!
- まっすぐ立ちます。
- 背筋をしっかり伸ばします。
- お尻を後ろに引きながら、身体を前に傾けていきます。このとき坐骨(椅子に座った時にシートに当たる骨のでっぱり)ができるだけ天井に向くようにします
- へそが太ももに近づくように身体を傾けます。
このとき顔から足に近づいて背中が丸くなってはいけません。
背筋を伸ばしたまま前屈することを大切にし、身体を前に倒す量を気にしてはいけません。
- 自分がいけるところまでいったらその場所で20秒止まります
- ゆっくり身体をおこしましょう!
長座位でのストレッチ2
座ってする方法の変法です。
「身体を倒そうとするとすぐ膝が曲がってくるのをなんとかしたい!」
という場合に使えるやり方です。
膝の裏のハムストリングの付着部(停止部)を中心にしっかり太ももの後ろ(裏)側を伸ばすことができます。
- 長座位で座ります。
- 片足をあぐらのようにしながら伸ばした足の太ももに乗せます
- 背筋をしっかり伸ばします。
- 坐骨(椅子に座った時にシートに当たる骨のでっぱり)をできるだけ後ろに引きます
- へそが太ももに近づくように身体を傾けます。
身体を前に傾けるのにあわせて乗せている足が膝が曲がらないようにと押さえる力も高くなります。
- 自分がいけるところまでいったらその場所で20秒止まります
- ゆっくり身体をおこしましょう!
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ジャックナイフストレッチ(jack-knife stretch)
次は、太ももの後ろ(裏)側の筋肉でも膝寄りではなく中央からお尻の付け根寄りの部分をしっかり伸ばす方法です。
この方法は、
『ジャックナイフストレッチ(jack-knife stretch)』
と呼ばれていて
『成長期腰椎分離症』
という腰の疲労骨折を起こすスポーツ少年たちのために編み出されたストレッチです。
『分離症』の子供さんは、身体の柔軟性が低いことがありそれを再発予防のためにも改善させたいとなりましたが、普通に前屈をするのではあまり成果がでませんでした。
そこで、この
『ジャックナイフストレッチ』
を採り入れたところ短期間で良好な柔軟性の改善が認められたということから行われているものです。
- 足をそろえ両足首を持って屈みます。
- お腹と太ももが離れないように注意しながらお尻を上げていきます
- 上がれるところまで上がったら20秒体勢を保ちます。
このとき、お腹と太ももが絶対離れてはいけません!
「意識しているつもりなんですけど、どうしても離れてしまうんです・・」
という方は、持つところを『足首』ではなくて『太もも』をガバッっと抱きこむようにしましょう!
『ジャックナイフストレッチ』は立ってやることにも大きな意味があるとされていますが、個人的には別に座ってやっても悪いわけじゃないと考えております。
そこで、座ってやる方法を紹介します。
体育座り(三角座り)をします。両腕で太ももを抱え込みましょう!
- 少しずつ膝を伸ばして足を前に出していきます
- 自分がいけるところまでいったらその場所で20秒止まります
- ゆっくり身体をおこしましょう!
縦割り開脚ストレッチ
「太ももの後ろ(裏)側を全体的にしっかり伸ばしたい!」
「他のところも一緒にストレッチできるお得な方法が知りたい!」
という方には、縦割り開脚ストレッチがおススメです。
これは、同様の動きがヨガのポーズでは『ハヌマーナアサナ』という名称であります。
ただ、今までよりは少しだけ努力して開くようにしていき、筋肉をほぐすことが目的なので開き具合は気にしないでください。
- 身体を支えられる台を用意しておき、膝立ちになります。
- 膝は曲がったままで構いませんので、足を大きく前に出します。
- 少しずつ幅を広げるようにして筋肉が伸びていたらそれで完成です。
- 10秒間だけそのままでいてください
目標回数 3回×3~5セット
ハムストリングの伸び方を変える
ここからは、すべてのストレッチに共通することですが、太ももの後ろ(裏)側の『ハムストリング』を主に伸ばしていますが、
ハムストリングの内側寄り(半腱様筋・半膜様筋をしっかり)を伸ばす
ハムストリングの外側寄り(大腿二頭筋しっかり)を伸ばす
ためにちょっとしたアレンジをする方法です。
それは、足先を
- 外側に向ける
→ハムストリング内側(半腱様筋・半膜様筋をしっかり)をしっかり伸ばす - 内側に向ける
→ハムストリング外側(大腿二頭筋をしっかり)をしっかり伸ばす
だけです。
自分のターゲットにしている筋肉をより明確にストレッチしたときにお使いください。
おわりに
「太ももの後ろ(裏)側の筋肉(ハムストリング)をストレッチしたい!」
と言う場合でもやり方はいろいろあります。
スタンダードな『体前屈』でストレッチするだけではなく、その方の柔軟性などの要因にあわせて最適なものをセレクトできればいいですね。
どれを選んだとしても、一定以上の継続と努力は必要だと思います。
しかし、その中で不必要な苦痛や時間を費やさないで目標が達成できれば幸いだと思います。
うーん
2017年1月30日 at 10:17 PM
ジャックナイフストレッチで腰痛が悪化した経験があります。正直行って、身体の硬い自分には全部出来ないストレッチでした。
身体が硬い人が出来ないストレッチばかりどこでも紹介していて何だかなぁと思ってます。要するにストレッチは身体が柔らかい人だけがやる柔軟体操なんですね。
友和渡辺
2017年1月31日 at 11:37 AM
当サイトをご覧いただきありがとうございます。
ジャックナイフストレッチは、一般的な前屈ストレッチに比べてハムストリングの柔軟性が向上させやすく腰への過剰なストレッチがかかりにくい利点があります。
しかし、
・おなかや胸と太ももの間に距離があいてしまうようなやり方になっていたり
・腰の筋肉が伸ばされると腰痛が悪化するリスクはある
というものと理解されるとよいでしょう。
身体が柔らかい人がストレッチをする場合、どんな種目をどうやっても問題が出にくいのに対して、身体の硬い人はストレッチの種目や順番選びを適切に行うことが大切になってきて、それをきちんと行えば柔軟体操としての効果をきちんと得ることはできるものと考えます。
今回のこの記事では、ストレッチの種目を紹介することを主目的にしておりますので、腰痛のお持ちの方であれば違うアプローチからされることをおすすめします。
http://ne-stra.jp/3376.html
マドリガル
2017年5月26日 at 9:45 PM
ジャックナイフストレッチ、かんたんにできました。なまえがついているとおぼえやすいです。
友和渡辺
2017年6月29日 at 4:57 PM
当サイトをご覧いただきありがとうございます。
名前がついているものは覚えやすくなりますね、うまくできてよかったです。
マッスル
2017年6月24日 at 10:34 AM
ジャックナイフは立ってやらないと意味がないです。立っているという動作によって、ハムストロングの拮抗筋を収縮させる、強制的にハムストロングを弛緩させることができます。この弛緩させた状態でストレッチを行うことに意味があるのです。
友和渡辺
2017年6月29日 at 5:01 PM
当サイトをご覧いただいたうえ貴重なご意見をいただきありがとうございます。
相反抑制をうまく使うところにジャックナイフストレッチの良さがあるというご指摘は確かにそうだと考えます。
実践される方の中で腰痛のある方などはやり方によって負担を感じることもあるようで、より簡単に安全に行うという意味で亜流的な意味合いで紹介しています。
そのあたりの説明については少しお読みいただいている方にわかりやすいようにできないか工夫と紹介の仕方を考えたいと考えます。
もも裏カタ太郎
2017年7月29日 at 1:57 AM
ジャックナイフの時、脚は肩幅ぐらい開く感じでしょうか。
下の方の記事に載っている足先の向きを変えるやり方はジャックにも適用されるのでしょうか。
友和渡辺
2017年7月30日 at 7:22 PM
当サイトをご覧いただきありがとうございます。
足幅は基本肩幅で行っていただければいいでしょう。
足先の向きをかえるのはジャックナイフにおいても言えることですので試してみてくださいませ。
和田
2017年12月18日 at 11:18 PM
椎間板ヘルニアの手術から3ヶ月経ちました。今は週一で病院でのリハビリと毎日自宅でリハビリを行なっております。ハムストリングの硬さが腰痛の原因と聞いてハムストリングのストレッチを取り入れたいと思っています。私の様な手術後の者でもできるストレッチ方法はどんなものがあるのでしょうか?
友和渡辺
2017年12月19日 at 11:08 AM
当サイトをご覧いただきありがとうございます。
まずは、当記事にも紹介してるような手順で特に膝をピンと伸ばさないでストレッチをする方法から選んでやっていただくのがおすすめになります。
ただし、腰痛の方の多くはハムストリングを含めた筋肉の柔軟性の低下はありますが、それが原因とは言い切れないものと考えます。
腹筋をしっかり鍛えることや、猫背を改善することなどを組み合わせて行っていくことで腰痛予防・改善の効果がしっかり得られるものと考えます。
こちらの記事も参考にしてくださいませ。
http://ne-stra.jp/3376.html
名無し
2018年1月6日 at 1:46 AM
ためになりました
友和渡辺
2018年1月6日 at 6:34 PM
当サイトをご覧いただきありがとうございます。
そのように言っていただきまして非常にうれしく思います。