患者さんの健康を願う治療家が生活習慣指導をうまく活用するには!?

身体にずっと痛みを抱えている方(慢性疾患の患者さん)は、
日常生活を過ごすことが辛いですね。
一般の方ならリラックスできるはずの寝ている時でさえもその症状が出てくる場合もあります。
「寝ているときも肩がこってきてそれで目が覚めてしまう・・・」
「寝ていても腰が痛いから仰向けで寝られない・・・」
「足をずっと伸ばして寝ていると膝が痛くなる・・・」
などのお話をよくうかがいました。
寝ているときの痛みをお持ちの方は
- 寝るときの辛さを解消するには根本的に良くするしかないと思っている
- 何か工夫をすることで和らげることができるものと思っていない
のように寝るときの痛みについてとらえているようです。
そのため
『治療に行って症状の話になって、寝ているときの辛さを言うべきことと思わず訴えない』
ことから、治療者もそのことに焦点をあてずに対応してしまうことが多いようです。
しかし、この寝るとき症状がある方は
- 睡眠の質が下がり、全体的な心身の調子を崩してしまう
病態の捉え方が否定的になり、治療への意欲も下がる - 寝ている間も負担を受けている
寝て身体を休めているはずが、その傷めている部分に負担をかけてしまうことが起きている可能性があります。
そうすれば、いくら良い治療をしても寝ているときに負担がかかっていれば効果が薄れてしまう
などの問題が起こっています。
治療家の中には
「いくら生活指導しても患者さんは言うことをどうせ守ってくれない」
「一生懸命指導してもそこで費用はいただけないから経営的に考えてもついおろそかにしてしまう・・・」
というご意見をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
それは私自身も経験していますので非常にお気持ちはよくわかります。
心情的にはわかりますが、それでも患者さんがよくなっていただけるために
アドバイスできることはするべき
です。
ただし、治療家がすでにそのような諦めた心境では同じように生活指導をしても
患者さんの心には響かない
時間がかかるだけで症状改善に結びつかない
ことになります。
せっかく『生活指導』する以上効果に結び付けたいですね。
そのためには、今までの患者さんの心に響かない
『生活指導』の問題点
を改善していく必要があります。
今回は、『患者さんへの生活指導』の問題点を考え、治療の効果を高めるためのひとつの大きな武器を手に入れていただければと思います。
根本問題:そもそも治療者が軽く考えている
今までまわりの治療家やドクターの『日常生活指導』の説明を聞いていると
「それじゃ、だれもやらないだろうな・・・」
って思います。
自分が患者であってもまずやらないだろうなって思うような説明の仕方
しかしていません。
治療側は
「生活習慣による負担で症状は起こっているが、それはそれ!
症状を治すのは自分たちのする治療だ!」
と無意識に思い込んでいる方が非常に多いようです。
そのマインドで患者さんと向き合うので、一生懸命話したうえで患者さんのとる選択は
『通院する』
になっちゃいます。
「やっぱり体重が重いと膝には負担がかかりますからダイエットできた方がいいですね」
「仕事で腰に負担がかかる動作があると思いますができる限り控えてください」
「コルセットは苦しいしめんどくさいかもしれませんが巻いた方が腰にやさしいですよ」
「ストレッチなんかもしたほうが筋肉がほぐれて楽になりますよ」
など身体にいいだろうことをとりあえず言ってます。
けど、これってあくまで
『とりあえず』
なんです。
ダントツで1番大事だと思っている『通院・治療』ほどの必要性を訴える熱意は当然ありません。
患者さんの心理は、声にしませんが
「なるべくすぐ解消してほしいけど、自分でする面倒なことはとにかくしたくない」
というわがままが前提にあります。
そんなやる気のない人に熱意のない言葉をかけてやってくれるはずがありません。
個人的には、言うだけ時間の無駄だと思います。
もし、言うなら一生懸命『治療の一環』として伝えなければいけません。
ポイント:やる気のない人 × させる気のない人 = 何も達成されない
このように、治療側の問題意識が低いと患者さんに対して
- 説明の熱意が低くなる
1番よくないことです。
意思決定を行うときに相手の持つ熱意が大きな影響を与えます。
例えば何かを手伝ってもらいたいとき、ヘラヘラしながら
「手伝ってくれない?」といわれるのと、
こちらの目を見ながら
「申し訳ないけどあなたの助けが必要なんです」って言われたら、
どちらの言うことを聞こうと思うかなんてわかりきったことですね。
「これが治療に絶対欠かせないんです!」
くらいの熱意をこめて話さないと伝わるものも伝わらなくなります。 - 説明内容が浅くなる
「生活習慣を改善しましょう!」
だけなら患者さんからしたら
「言われなくてもわかっている」
っていう常識をただなぞっただけになります。
そのうわべをなぞるだけなら素人の領域を出ません。
そんなのに患者さんは『価値』を感じません。
もっと具体的で専門的なことを説明されたときに患者さんは『価値』を感じます。
しっかり『価値』ある情報を提供できるようにしなくてはいけません。 - 説明頻度が少なくなる
患者さんは説明され納得しても自分がすることはめんどくさがったりすぐ忘れたりするものです。
それをしっかり実践してもらうためには何度も何度も機会を作って伝えていく『啓蒙活動』が必要です。
同じことを何回も言われると患者さんもストレスが溜まります。
手を変え品を変えうまく伝えていかないと伝わりません。
ことで、患者さんの心に響かず実践に結びつかなくなります。
患者さんの心を入れ替えるには
治療側の熱意と努力
が求められるのです。
しかし、
「確かに・・・そういわれればそうだな
ただ限られた時間を割いてやる熱意は持てないな・・」
と納得された方についてまず話を進めます。
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スパッと気持ちを切り替えて説明しない
「どうせ言ってもやらないだろうことに時間を使っても仕方ない」
「しっかり通院してもらって治療して良くしていくほうが、経営的にも患者満足にもつながっていい」
と考えられる治療家の方もいらっしゃると思います。
これくらい
生活指導の不必要に対する強い意志
治療への自信・プライド
をお持ちであればそのようにされるのもひとつではないかと思います。
例えば、餃子専門店でほんとうに餃子以外、ビールも置かないお店があるそうです。
『餃子』だけで十分顧客の満足は得られるという自信・プライドを持って挑む
(原価率が高く、回転率が悪くなる酒を置かないで回転率をあげ収益率を高めるという経営戦略もあるでしょうが)
という考え方に近いかと思います。
生活習慣改善の重要性はわかっているつもり?
先ほどの場合と違って、
「生活習慣の問題は治療に影響を与えるのはわかっているから伝えたい」
「患者さんにきちんと伝えたいと思うけどうまく伝える方法が分からない」
という方もたくさんいらっしゃると思います。
そういう方は、やっぱり
「重要性をわかっている『つもり』」
なのでしょう。
『伝え方がわからない』を解決するには、
自分が生活習慣に関わることをしっかり考え勉強することです。
実際、
自分が真剣に取り組んだこと
自分が時間をかけて作り上げたこと
自分が費用を投じて勉強したこと
は、言われなくても重要性を理解し自信と伝える意欲が湧いてくるものです。
自信を持つだけの具体的に必要な情報を学び心からその必要性を理解することからはじめることが必要でしょう!
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生活習慣指導をきっちりして患者さんにもっと良くなってもらいたい方
「生活習慣こそが慢性疾患の大きな原因であって、それを工夫することは治療として大事なことだ!」
と思われた方は、実際指導して患者さんにその必要性を理解していただかなければなりません。
そこで、1番頭を悩ませるのが
『指導時間の確保』
です。
なぜ、大切だと心の片隅で思いながらも実際に時間をかけられないかと言えば
『時間=治療費用』
となってくるからです。
もちろん、必ずしも時間をかけるところに費用を発生させなければいけないわけではありません。
しかし、やはり治療費をいただいていないところは、何か問題があったときにすぐに省略してしまう対象になってしまいます。
逆に、治療費に組み込まれていれば
必ず実践する義務とそれに対して結果を出す責任
が伴ってきます。
では、『生活習慣』を見直す指導をするためにしないといけない工夫は
- 生活指導を収益源にする
治療の中に組み込んでしまい、患者さんに必ず受けていただく料金システムにしてしまう - 生活指導の時間効率を高める
対面で説明する時間は手短にして、それをフォローする資料を提供して家で読んでいただく - 収益源かつ時間効率を高める
先ほどの1,2を両方実行する
があります。
これらを順番に考えていきましょう!
1、生活指導を収益源にする
『通院・治療』を強力に勧められる理由には
- 治療が症状改善の方法だと思っている
- 自分の生活がかかっている
からです。
『治療家』である以上、マッサージの上手い素人ではありません。
その技術の対価を患者さんからいただいています。
そして、治療を『生業』にしているのが我々なのです。
そのため、生活指導も『治療』の中に位置付けてしまえば、患者さんに必ず指導しなくてはいけなくなります。
もちろん、追加で入れるわけですから『治療費』は値上げなどしなくてはいけません。
ただ値上げするだけではなく、値上げによって今まで以上に成果を出さないと患者さんは来なくなってしまいます。
そのくらいのがけっぷちになれば、人は必死に生活指導の内容も勉強しますし、必死に患者さんに伝えます。
そこまですれば実践してくれる患者さんが出てきて結果が伴ってくるようになれる可能性が高まります。
「生活指導を極めて患者さんをもっと良くするんだ!」
くらいの気合が必要ですのでそもそも気持ちがない人には危険な賭けになりますからあまりお勧めではありません。
実際の運用としては、初診患者さんには必ずセットメニューでしか提供しないというやり方があります。
うまくいけば、
他の治療院との差別化
単価の上昇
などが期待できます。
2、生活指導用の配布資料を作る
「自分で説明する時間を最小限に抑え、効果を落とさないサポートをする方法がないか」
経営を効率化して、なお患者さんに価値ある治療を届けるには自分が明らかに余計だと思われることはカットしていく必要があります。
もちろん、コミュニケーションなど一見非効率に見えることでも必要なこともあります
パッと見て非効率にみえるところをすべてカットしろと言っているわけではありません。
熟慮の結果、不必要と判断されたならカットは思い切ってするべきだという意味でご理解ください。
ただ、カットするになったとしても
「患者さんに有益になるだろうことで自分の知っている情報はきちんと伝えておきたい」
と思うのも当然です。
そうなれば、
『直接啓蒙するよりは効果は低くなったとしても、できる限り手間をかけずに情報を提供する』
ことはできないものでしょうか?
労力が要らないわけではありませんが、この無理が昔よりもはるかに簡単に実現できるようになっています。
- 配布資料を作成
- 院のホームページに特集をつくる
- メルマガのネタにする
次は、これらについて順に紹介していきます。
1、配布資料を作成
自分でパソコンで資料を作成し、印刷したものを配布する。
この欠点は、素人ぽさが出てしまうことです。
もし、それが嫌なら業者に発注してもいいと思います。
特に素人っぽさが出るのが『印刷』なんです。
業者に出すのがコスト高だからと家庭用のインクジェットプリンターで印刷すれば、
紙はフニャフニャに曲がりやすい
色の乗りが悪い
ため、ひとめで自分でやったのがわかってしまいます。
しかし、今は『ネット印刷』などで『印刷』だけ手軽に業者に発注できます。
インクジェットプリンターも結構コスト高で印刷の手間もかかりますのでそれらのサービスをうまく利用することをお勧めします。
2、院のホームページに特集をつくる
自分の院のホームページをお持ちの方にはお勧めの方法です。
『生活習慣での気を付けること』
を特集にした項目を作ってそこに全部載せておきます。
自分で更新できるタイプのホームページでなければ業者に依頼するたび費用がかかります。
しかし、以降は患者さんに
「ホームページの生活指導のところみておいてくださいね」
と一言言うだけで一切費用がかかりません。
しかも、自分の院のホームページを直接宣伝できますし、ホームページの内容を充実させることにもつながります。
ホームページを充実させることは、院の宣伝効果にもつながり現代の治療院経営には必要なことです。
いいところずくめなので是非実践されることをお勧めします。
3、メルマガのネタにする
来院患者さんに対して
- ステップメール
初診時にメールアドレスを登録してもらい、
・初診
・2日目
・3日目
・・・と一定の決まった期間に決まったフォーマットのメールを届ける方法。
ここで患者さんに通院する必要性や頻度など初診時に説明した内容を肉付けして伝えることでしっかり理解してもらう『患者教育』に使うツール - メルマガ
メールを一定期間に配信し続け、患者さんと院の接点を作り続けるサービス。
継続利用率を下げない患者さんとの関係性を構築するには非常に役立ちます。
などのサービスをされている院であれば、ここに記事として載せちゃうのがいいでしょう!
患者さんに有益な情報でしかもホームページより送りつけられるメールなので読んでいただきやすいなどの利点があります。
いろいろやり方はあります。
手間や費用はもちろんかかりますがやはりここで何もしないというのは・・・と思われる方には1番現実的な方法ではないかと考えます。
おわりに
生活指導を患者さんが見直せば、それだけで治療の効果は一気によくなります。
「それをなんとなくわかってるけど変えたくない、めんどうだから自分が変わらずによくしてもらうために金を払うんや!」
という患者さんの内なる声が聞こえてきます。
もちろん、その気持ちはわかりますが本当に早く良くなっていただきたいのであればそこをあえて
「いい治療をしてもそれを台無しにする生活習慣をされていては時間も費用もすごくかかってしまいますよ」
とはっきり伝える優しさもこれからの治療家には必要なのではないかと思います。
そんな患者さんが乗り気になりにくいことを1回の説明だけ済ませようとすると時間もかかりますし、患者さんの思い込みの壁を壊すことはできません。
何回も機会を作り、その都度必要性を伝えていくことで患者さんは
「この先生がこれだけ大事だって言っているんだからできるところからやってみようかな・・」
ってなって取り組んでもらえるようになる方も増えます。
あとは、実践による効果を感じてもらえば続けていただけることにつながります。
ちょっと、地道でめんどくさいことかもしれませんが、その治療家みんなが
「めんどくせっ!こんなことやってられんわ」
ってことをやっていくことが、なかなか他の競合にパクられない自分の院の差別化につながり競合に負けない強い院を作ることにもつながります。
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