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正座習慣は膝を痛くする原因ではない!?正しい正座の知識を知ろう!

生活様式の欧米化に伴って、床に座ることよりも椅子に座ることが増えています。
昔と違い最近の子供にとってはなじみが薄くなってきている座り方の
『正座』
です。

それとは逆に、膝を傷めて正座ができなくなっている年配の方は

「正座がまたできるようになりたい!」 

「正座ができないと法事や葬式のときなどに困る」 

など、
なんとかして正座ができるようになることを熱望される方がたくさんいらっしゃいます。

最近は、法事や葬式でも昔のように正座をしなくては格好がつかないというような空気もだいぶなくなってきて、椅子や腰かけに座ったりすることができるようになってきています。

そんな中、今の世間の空気をみていると、医療関係者やメディアがこぞって
「正座は膝によくないからあまりしないほうがいいですよ」
などと言っていて
『正座=膝によくない』
というイメージが定着しつつあります。

このイメージも手伝って古き良き『正座』習慣はこれからどんどん衰退していくことが考えられます。

そこで考えて今回考えていたたいのは
『正座は膝に悪い座り方であって、いいところがなく衰退していくべき座り方なのか』
ということです。

治療家や医療従事者であるならば、
「世間が正座はよくないと言っているからやめるように啓蒙するんだ」
などという自身の根拠を明確に持たずに外から得た情報をスピーカーのように言ってしまうのは、やや無責任ではないかと思われます。

そこで、今回は『正座』について少し掘り下げて考えていきたいと思います。

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正座の歴史 って意外に浅い?

『正座』をしてみたとき、他のあぐらや体育座り・足を投げ出して座る長座などと比べて違いを感じることはありませんか?

個人的には正座をすると
『腰(骨盤)がしっかりと立って背筋がピンと身体に一本の軸が通った感じ』
がします。

そのため、『正座』は
他の座り方より身体だけでなく気持ちも一緒に引き締まるような感覚
になります。

この『正座』について、昔から日本人が綿々と続けてきたスタンダードな座り方のようなイメージもお持ちではないかと思います。

『正座』が一般的に普及したのは実は明治時代以降のことで、そこまで歴史がながいわけではありません。
それまでは、『あぐら』などが主にされていたようです。

ただ、日本の仏教のひとつの座法として『正座』があることもあり、日本人になじみが深いことには変わりありません。

 

正座は本当に膝に良くないのか?

そこでまず考えておきたいのが
『正座が膝によくない』
というものです。

これがさも真実かのように言われておりますが、以下の報告を見た限りではそれは疑わしいと考えます。

  • キリスト教・イスラム教・仏教圏で変形性膝関節症の罹患率が1番高かったのは、正座習慣のある『イスラム教』『仏教』ではなく『キリスト教』圏でした。
  • 日本の調査でも、変形性膝関節症の罹患率は、『正座習慣のある人』より『正座習慣のない人』の方が高かった

他にそれら正座習慣と膝についての文献をみたことがないため現段階では、
『正座』習慣と変形性膝関節症の関連性は認められない』
と理解しております。

 

正座は足の成長を阻害するのか?

そして、僕らが子供時代にまことしやかに囁かれていたのは
『正座ばっかりしていると短足になる』
というものです。

確かに、僕ら以降の世代からは特に子供の成長が早く、平均身長がどんどん伸びているように感じます。
せっかく成長が早くなって高身長化しているのに、それを本当に邪魔しているんだったらちょっといい印象はもてませんね。

そこで、子供の身長について調べてみました。
すると、子供の平均身長は少なくともここ20年でさほど変化はないことがわかりました。

このことから、

子供がませて大人みたいなことをしだすのが早いこと

メディアや世間で言われていることにイメージが引きずられている

などでそのような色眼鏡をかけてしまっている可能性が高いようです。

そのデータは高校生までのものなのでもしかしたら、高校生以降も身長が伸びる人が多く成長期の期間が最近の子供は長いというのは可能性としては考えられますね。

新垣結衣さんが大人になっても身長が伸びている?
なんて本人が言っているみたいですが、それが全体的に多くなっているという説です。

身長が変わらないのに、正座習慣をしていたら『足が短く』なるのであれば、その文昔の子供は『胴』がよく伸びていたってことになりますが、この部分伸びや部分縮みがあまり現実的でないことはご理解いただけると思います。

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膝を曲げる習慣がなくなった

『正座』とは少し違いますが、最近は便所も『洋式化』しています。

昔は当たり前であった『和式便所』は鳴りを潜め、和式トイレ
『洋式便所』が主流
になってきています。洋式トイレ

そのため、現代の子供はいわゆる
『うんこ座り・ヤンキー座り(踵をつけたまましゃがみこむ)』ヤンキー座り
ができなくなっています。
(これは統計的根拠はありません)

今の若い人が和式トイレを使うときは

踵を上げて

前の手すりか配管をつかんで

じゃないとかがめないという人が増えています。和式便所座り

また、昔は農家の人が多く、農業をしていると本当に屈むことが多いのを幼少時代の記憶から実感しています。

そこから比べると、現代の人々は

  • 『正座』習慣がなくなり
  • 『和式便所』のなくなり
  • 農業人口が減少

ということから昔の人よりもはるかに膝を曲げる習慣がなくなってます。

そこで言われているのは、
『足首が硬くなっている』
ことで、この足首の硬さが膝の障害と関連性があると現代医学では指摘されています。

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正座はなぜしてはいけないのかと言われているのか

『正座』がなぜこれだけ悪者にされているのかを考えてみます。

それは、
『変形性膝関節症の年配の人は正座ができなくなる』
ことが大きく関係していると考えます。

もちろん、『変形性膝関節症』になれば、完全に曲がりきらなくなりますので『正座』ができなくなる傾向があります。
ただ、それは曲げられなくなるだけではなくて完全に伸びなくもなります。

膝関節が全体的に『可動域』を失うわけです。

しかし、その『伸びない』ことに関しては、
曲げるときの『正座』『和式便所』『農業』のような完全に膝を伸ばさないと明らかにできなくなる動作がないことから、曲がらないことが患者さんにとって不都合を自覚しにくくなります。

そのできなくなった『正座』をしたがったり、その都度注意したりする機会が多い医療従事者の意識についても
『変形性膝関節症の人は正座をさせてはいけない』
と強く印象付けられます。

『『痛み』が出る動作を無理にさせない』
という対応は、この『正座』に限らず、

  • 変形性股関節症で歩くことを控えるように指導し
  • 母指CM関節症であれば、力強くものを握ったりすることを控えるように指導し
  • 頚椎症であれば、首を無理にグルグル動かさないように指導する

このように『関節』が傷んでそれによって『負担』がかかる動作に関してはどの部位であっても一様にしないように指導するのが当然の対応です。

だからといって、頚椎症でもない人に
「首を回すと頚椎症になるから回してはいけない」
とは言いませんし

母指CM関節症でもない人に
「ビンの蓋を開けたり、はさみを強く握ったりする動作をすると母指CM関節症になるからしてはいけない」
とまでは言いません。

総じて
「なんでも偏ったことや負担のかかりすぎることはしないようにしましょうね」
くらいのものです。

それが『正座』に関してはその一般的な注意を繰り返しているうちに意識が
『正座をしていると変形性膝関節症になるのを助長してできなくなってもしたがるようになるんだ』
と変わっていったのではないかと考えます。

しかし、これは『正座』習慣で変形性膝関節症が起こっているという関連性も証明されていませんし、他にも膝が負担になることはあります。
それを意識されているところだけを取り出して決め打ちで
『正座習慣は膝によくない』
といくのはあまりに極端な思い込みに支配されています。

結果として『正座』は明らかに
『変形性膝関節症』のスケープゴート
にされてしまっているのが現状ではないかと考えます。

 

それでも正座がなぜ悪いと言えるのか

ここまで読まれた方でも
「それでもあんなに膝を最大まで曲げこんで体重かけたら関節にも負担がかかるんじゃないの?」
って思われるかもしれません。

しかし、これも
『正座が膝によくない』
というレッテルを貼っているから起こる理屈に過ぎません

『正座』が悪いことする根拠のポイントをここで整理しておきます。

  • 関節可動域の最終までいくこと
  • 体重がかかること
  • 長時間続けること

になります。

まずは、長時間同じ動作を行うことがあまり勧められないという点に対しては同意見です。
これは、『正座』に関わらずどのような体勢・動作であっても共通することです。

次からは異論があります。 それは、可動域についてです。

基本的に治療家や医療従事者は、関節可動域が一般の人より狭くなることを
『可動域制限』
と問題視をし、それを解決させるために
『可動域訓練』
と称して、グイグイ可動域いっぱいに関節を動かし、元通りに動くようにしようとします。

もちろん、そういう疾患でないかたにも
「可動域はしっかりとれておくほうがいいんですよ~」
って言って
『ストレッチ』ないし『可動域訓練様の体操』を奨励
します。

しかし、これが『変形性関節症』になった瞬間
「無理に動かすと関節の負担になるから無理しないでいけるところまでから少しずつ可動域を取り戻しましょう!」
といって、愛護的にとはいえそれでも『可動域』を再獲得するために行います。

他の関節の場合

肩のストレッチ  肩ストレッチ

手関節(手首)のストレッチ  手首ストレッチ

などは積極的に最終可動域までやれっていうのにおかしい話です。

そこから考えれば
「膝の屈曲可動域をしっかり保つために定期的に正座をしてるんです」
と言われたら、別に『正座』が悪いといえなくないようになると思います。

次に体重をかけて自動でいける可動域以上に動かすのがよくないという理由です。
これは、よく考えたら『正座』以外でもいっぱいしています。

例えば、

アキレス腱のストレッチ アキレス腱ストレッチ

股関節(腸腰筋)のストレッチ  股関節ストレッチ
などです。

これをしている人に
「体重をかけて最終可動域から刺激するのは関節に悪いからだめです」
とは言いません。

逆に体重を使ってジワジワ伸ばしていこうとするように勧めますね。

これまでのことから『正座』は

変形があって痛みがある場合はしないように指導

変形がない場合には、ストレッチ的な意味合いで一定時間するのはいいけど、長時間続けるのは『正座』に限らず身体に負担がかかることがあるから避けてください

と指導するのが正確ではないでしょうか?

 

おわりに

『正座は膝によくない』
という概念が一般常識化しそうなほど広まっています。

しかし、先入観なくその事柄をみつめていただければ
そこまで『正座=悪習慣』と決めつけるほどの悪者でもないことがわかります。

『正座』によって得られる効果もたくさんあります。
患者さんの状態をみながら『正座』のいいところは得られるようにうまくアドバイスできることも治療家としての責務ではないでしょうか?

『正座は悪者』と思い込んでおられた方は、1度『正座』について見直しをしていただいてそれをうまく使い分ける広い視野をもっていただけるきっかけになったなら幸いです。

 

ポイントを整理

『正座』が時代劇の悪代官くらいわかりやすい悪者に!?

『正座』は年配の人にはいまだに根強い人気

正座は背筋も気持ちもシャンとしてくれる

正座の一体なにが悪いか論理的に説明できますか?

正座習慣の復権で患者さんにメリットがあります

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