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肩の筋肉を個別にきちんと働いているか確認する筋力検査の方法とは  

身体を動かす主役となる『筋肉』がどれだけ力を発揮できるかをチェックすることでたくさんの情報を得ることができます。

  • 神経障害によって筋肉の指令がきちんといっていない
  • 身体や関節のバランスの乱れで出力ができていない

などの要因で『筋力』が発揮できなくなります。

その『筋力』が最大に力を発揮したときのパワーに問題があるケースや、サッと動こうとしたその初速が遅いなどの反応の問題などがみつかります。

基本的な『徒手筋力検査』の手技を紹介しながらも、治療の現場でみられやすい傾向やトピックなどもあわせて紹介していきたいと思います。

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肩関節の筋力検査

頚椎由来の神経の問題や五十肩などになられた後では、肩関節の筋力がうまく発揮されず明らかな

  • 筋力が発揮できない(筋力低下)
  • 見た目の筋肉のボリュームが少ない(筋委縮)

というようなことも臨床で目にしやすい部位となっています。

また、『肩関節』の運動には必ずその運動の土台となり協力者ともなる『肩甲骨』の運動についてセットでみていくくらい関連性が深いものと考えられると良いでしょう。

たとえば、『肩関節』と『肩甲骨』の動きに合わせた個々の筋力検査の結果に関連性がないかをチェックしてみるようなことは機能的な筋力の左右差の問題の検出などには有用と考えます。

基本を確認して置けば、そのようにいろいろ使い方の幅も広げることができます。

患者の筋力がそもそも脚に比べれば強くありませんので扱いやすい

座った状態などでも検査ができる簡便さ

などから、実践しやすい場所もありますので、積極的に練習していくには良い部位となるかと思われます。

 

肩関節屈曲

参考可動域 180°

検査の準備・手順

  1. 患者さんはベッドの端か椅子に座ってもらいます。
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    背もたれがあれば背中を当てておいてもよいでしょう。
  2. 検査する側の腕を前に90°挙げます。
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  3. 検査する人は検査する側の肩甲骨の上側に手を添えておきます。
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  4. 検査する人は患者さんの肘の少し上をつかみ、下へ押さえつける力(抵抗)を加えます。
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  5. 合図とともに運動をしてもらい、必要に応じて抵抗を加えます。
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代償動作・注意点

  • 身体を反らせようとしたり、
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    身体を横に傾けたり、
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    肩をすくめたり、
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    などの動き(代償動作)が起こりやすいので注意しましょう。

臨床や実際の治療での応用

検査の開始位置を腕を90°挙げた状態を基本としましたが、0°の位置から行うことで筋力の左右差などをみやすくなる場合や代償動作の起こり方などが違ったりすることもあり、臨床上有用な場合もありますので角度は左右均等にする必要はありますが、必要に応じて変えておこなってみるのもよいでしょう。

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肩関節伸展

参考可動域 50°

検査の準備・手順

  1. 患者さんはベッドにうつぶせるか、椅子に座って行います。
    患者さんの状態にあわせた体位で行うようにしましょう。
  2. 検査する側の腕を、身体に沿って横におき、手のひらを自分の背中側に向けます。
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  3. 身体を丸めたり(椅子の場合は特に出やすい)、捻ったりする動き(代償動作)
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    が起こりやすいため、患者さんにそのような動きがないようにあらかじめ説明しておきましょう。
    そして、念のため検査する側の背中に手を添えておきます。
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  4. 検査する人は、患者さんの肘の少し上をもち、下へ押さえつける力(抵抗)を加えます。
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  5. 合図とともに運動をしてもらい、必要に応じて抵抗を加えます。
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代償動作・注意点

  • 椅子に座って行う場合には背中が丸くなりやすく一緒に顎が上がりやすくなります。

臨床や実際の治療での応用

肩甲骨の内転と肩関節の伸展は同時に起こります。

これらを同時に起こっているものとするのであればそのままでいいですが、肩関節の伸展をより主体に診たい場合にはあらかじめ患者さんに背中を締めこみ気味にしてもらってから検査するとよいかもしれません。

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肩関節外転

参考可動域 180°

検査の準備・手順

  1. 患者さんはベッドの端か椅子に座ってもらいます。
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  2. 検査する側の腕の位置については大きく、
    ・横へ床と水平になるようにする
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    ・下に下ろした状態から少し挙げた状態にする
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    などがあります。
    また、
    ・腕の位置を真横にするか
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    ・少し斜め前(約30°、肩甲骨面上)にするか
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    なども検査目的に応じてポジション・運動方向は決めてください。
  3. 検査する人は検査する側の背中や肩甲骨の上側に手を添えておきます。
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  4. 検査する人は患者さんの肘の少し上をつかみ、下へ押さえつける力(抵抗)を加えます。
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  5. 合図とともに運動をしてもらい、必要に応じて抵抗を加えます。
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代償動作・注意点

  • 身体を横に傾ける、
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    腕を外側に回す、
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    肩をすくめる、
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    などの動作(代償動作)が起こりやすいので注意しましょう。

臨床や実際の治療での応用

腕を身体の真横から上げる動作が『肩関節 外転』ですが、一般的にこのような動作を日常生活でするかといったら、ラジオ体操やヨーガを代表とした体操などのときくらいです。

一般的には、真横より約30°程度前方のあたりの『肩甲骨面(scapula plane)』にそってあげる動きをされますので、
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日常生活における筋肉の問題について考えている立場からすれば、この動きで評価する方が臨床上では有用ではないかと考えます。

肩甲骨面上にする場合には、肩の挙上の筋肉でも『棘上筋』についてみることもできます。
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肩関節外旋

参考可動域 60°

検査の準備・手順

  1. 患者さんはベッドの端か、椅子に座ってもらいます。
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  2. 検査する側の腕を横に広げ肘を90°に曲げ、腕は身体にひっつけておきます。
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  3. 抵抗を加えたときに、肩関節が動いて外旋の回転軸がずれることがあるので、
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    検査する人は患者さんの検査する側の肘の位置の意識をうながします。
  4. 検査する人は、患者さんの腕の手の甲側に手をあて
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    内側へ押さえつける力(抵抗)を加えます。
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  5. 合図とともに運動をしてもらい、必要に応じて抵抗を加えます。
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代償動作・注意点

  • 棘下筋・小円筋が弱い場合、
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    頭や身体を捻ったり、肩甲骨内転の動き(代償動作)が起こりやすいので注意しましょう。
  • 外旋の検査は、単独の動きでは大きい筋力が出せませんし、肩関節に痛みや違和感を覚える方が多いので、慎重に行いましょう。

臨床や実際の治療での応用

座って行うのは簡便でよいですが、実生活を考えるとあのような動きがありません。

かといって90°の位置もさほどありませんので、比較的日常生活やスポーツ動作に近い『ゼロポジション(後頭部を触るような姿で肘は横に張らないでやや前方、肩が楽に動く位置)』あたりで行うのもよいでしょう。

 

肩関節内旋

参考可動域 80°

検査の準備・手順

  1. 患者さんはベッドの端か、椅子に座ってもらいます。
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  2. 検査する側の腕を真横にあげて肘を90°に曲げ手のひらは足方向にむけましょう。
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  3. 抵抗を加えたときに、肩関節が動いて内旋の回転軸がずれることがあるので、
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    検査する人は患者さんの検査する側の肘の位置の意識をうながします。
  4. 検査する人は、患者さんの腕の手のひら側に手をあて外側へ押さえつける力(抵抗)を加えます。
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  5. 合図とともに運動をしてもらい、必要に応じて抵抗を加えます。
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代償動作・注意点

  • 身体を捻ったり、手首を曲げたり、背中を丸めようとしたりする動き(代償動作)が起こりやすいので注意しましょう。

臨床や実際の治療での応用

内旋の検査は、外旋よりは力が入りやすいとはいえ、このような単独の動きが身体にとって不自然なので肩関節に負担をかけてしまうことが考えられます。
安全に配慮し、無理をいないように気をつけましょう。

 

肩関節水平外転(伸展)

参考可動域 30°

検査の準備・手順

  1. 患者さんはベッドにうつぶせに寝るか、
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    簡便に行う分には座ってもおこなうことはできます。(厳密には『3』以上の場合には寝て行います)
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  2. 検査する側の肘を90°に曲げ、肘から先をベッドから下ろします。
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  3. 顔や体を動かさないように事前に患者さんに説明しておきましょう。
  4. 検査する人は、患者さんの肘の少し上に手を添え、まっすぐ下へ押さえる力(抵抗)を加えます。
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  5. 合図とともに運動をしてもらい、必要に応じて抵抗を加えます。

代償動作・注意点

  • 身体を捻る、
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    肩甲骨を締めこむ
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    などの動き(代償動作)が起こりやすいので注意しましょう。

臨床や実際の治療での応用

身体を捻る代償動作は、念入りに説明しても出てしまうことが考えられます。
そこで、あらかじめ顔を反対側に向けた状態にしておくと、代償動作の予防に役立ちます。
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肩関節水平内転(屈曲)

参考可動域 135°

検査の準備・手順

  1. 患者さんに検査を行う前に動きの確認をします。
    動きはいわゆる『肩のストレッチ』なんかでする動きに似ています。
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    実際には、これだと肩甲骨の動きが大きく出ていますので、肩関節の水平屈曲ができるようにきちんと確認しましょう。
  2. 患者さんにはベッドに仰向けで寝てもらうか、
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    椅子に座って行います。(椅子は原則『3』以上ではしませんが簡便さを求める場合にそうします)
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  3. 検査する側の腕を、肘を90°に曲げた状態で挙げます。
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  4. 両肩が浮かないように再度動きの確認をしてから、検査する人は患者さんの肘の少し上をもち、肩関節水平外転の方向へ引く力(抵抗)を加えます。
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  5. 合図とともに運動をしてもらい、必要に応じて抵抗を加えます。

代償動作・注意点

  • 肩甲骨が浮いてくる、身体を捻る、
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    首を捻る、などの動き(代償動作)が起こりやすいので、注意して行いましょう。

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