You are here:  / スキル(治療技術・知識) / 下肢の関節可動域を測って治療効果や経過を正しく評価できるようになろう 

下肢の関節可動域を測って治療効果や経過を正しく評価できるようになろう 

患者やクライアントが運動療法やリハビリを行う際に、『関節可動域(Range Of Motion)』は必ず評価しておくことを勧めたいものです。

臨床的には、デジカメやスマホ・タブレットなどで手軽に写真撮影が可能なことから患者さんの関節の動く角度を記録するのに写真をパッと撮って記録するのが患者さんの負担にもなりにくいし正確な評価ができて現代的な方法と考えます。

しかし、それも関節の可動域をどう測るのか?その関節は一般的にはどれくらいの範囲で動かせるものなのか?などを知って写真を撮るのか撮らないのかでは大きく違ってきます。

また、基本となる角度計を用いた方法できちんと計測してカルテに記載することは患者さんを医療機関に対診に出す場合などには必要になってきます。

今回は、一般的な治療家が院で接しやすい患者さんに対する関節可動域の測定についてその方法やポイントを紹介していますので復習などにお使いいただければと思います。

スポンサーリンク

股関節屈曲

基本軸:体幹と平行な線
移動軸:大腿骨(大転子と大腿骨外顆の中心を結ぶ線)
参考可動域:125°

  1. 患者さんは仰向けで寝てもらいます。
    %e8%82%a1%e9%96%a2%e7%af%80%e5%b1%88%e6%9b%b2%ef%bc%91
  2. 検査する人は、患者さんの脚を持って膝を顔方向に向けて曲げていき、押さえながら測ります。
    %e8%82%a1%e9%96%a2%e7%af%80%e5%b1%88%e6%9b%b2%ef%bc%92
  • このとき、患者さんの
    ・反対側の股関節が曲がる
    %e8%82%a1%e9%96%a2%e7%af%80%e5%b1%88%e6%9b%b2%ef%bc%93
    ・背中が丸くなる
    %e8%82%a1%e9%96%a2%e7%af%80%e5%b1%88%e6%9b%b2%ef%bc%95
    ・膝が外に向いて曲がる
    %e8%82%a1%e9%96%a2%e7%af%80%e5%b1%88%e6%9b%b2%ef%bc%94
    などの動作(代償動作)が起こらないように注意しましょう。

反対側の脚が浮くのをしっかり防ぎたい場合には、検査する人の脚で押さえつけても構いませんが体重を乗せすぎて患者さんに苦痛を与えないように注意しましょう。

%e8%82%a1%e9%96%a2%e7%af%80%e5%b1%88%e6%9b%b2%ef%bc%96

自分で動かしてもらって測る場合には、代償動作への注意を促しながら股関節を曲げるように声をかけます。

%e8%82%a1%e9%96%a2%e7%af%80%e5%b1%88%e6%9b%b2%ef%bc%97

 

応用

股関節を曲げる動きで膝を完全に伸ばした状態でも行うことができます。

%e8%82%a1%e9%96%a2%e7%af%80%e5%b1%88%e6%9b%b2%ef%bc%98

これは、脚の後ろ側の筋肉の硬さ(柔軟性)を含めて評価したい場合には使えますが、一般的ではありません。

神経痛の検査(SLR)とあわせて行うとよいでしょう。

自分で動かしてもらう場合には、

%e8%82%a1%e9%96%a2%e7%af%80%e5%b1%88%e6%9b%b2%ef%bc%99
膝が曲がるような動きなどの代償動作への注意を促しながら股関節を曲げるように声をかけます。

%e8%82%a1%e9%96%a2%e7%af%80%e5%b1%88%e6%9b%b2%ef%bc%99

スポンサーリンク

股関節伸展

基本軸:体幹と平行な線
移動軸:大腿骨(大転子と大腿骨外顆の中心を結ぶ線)
参考可動域:15°

  1. 患者さんにうつ伏せで寝てもらいます。
    %e8%82%a1%e9%96%a2%e7%af%80%e4%bc%b8%e5%b1%95%ef%bc%91
  2. 患者さんの太ももを持ち挙げて測ります。
    %e8%82%a1%e9%96%a2%e7%af%80%e4%bc%b8%e5%b1%95%ef%bc%92
  3. このとき、患者さんの
    ・骨盤が浮く
    %e8%82%a1%e9%96%a2%e7%af%80%e4%bc%b8%e5%b1%95%ef%bc%93
    ・身体を捻る
    %e8%82%a1%e9%96%a2%e7%af%80%e4%bc%b8%e5%b1%95%ef%bc%94
    ・足が外に開く
    %e8%82%a1%e9%96%a2%e7%af%80%e4%bc%b8%e5%b1%95%ef%bc%95
    などの動き(代償動作)が起こらないように注意しましょう。

自分で動かしてもらう場合には、代償動作への注意を促しながら股関節を伸ばすように声をかけます。

%e8%82%a1%e9%96%a2%e7%af%80%e4%bc%b8%e5%b1%95%ef%bc%96

 

別法

股関節が屈曲拘縮を起こしていたりしてうつ伏せが困難な場合には、横向きで行うことも可能です。

%e8%82%a1%e9%96%a2%e7%af%80%e4%bc%b8%e5%b1%95%ef%bc%98

ただし、身体の動きが自由で測りにくいため、可能ならうつ伏せでおこないましょう。

 

股関節外転

基本軸:両側の上前腸骨棘を結ぶ線への垂直線
移動軸:大腿中央線(上前腸骨棘より膝蓋骨中心を結ぶ線)
参考可動域:45°

  1. 患者さんに仰向けで寝てもらいます。
    %e8%82%a1%e9%96%a2%e7%af%80%e5%a4%96%e8%bb%a2%ef%bc%91
  2. 患者さんの太ももを持って外側に足を広げていき測ります。
    %e8%82%a1%e9%96%a2%e7%af%80%e5%a4%96%e8%bb%a2%ef%bc%92
  3. このとき、患者さんの
    ・足先が外側に向く(外旋)動き(代償動作)
    %e8%82%a1%e9%96%a2%e7%af%80%e5%a4%96%e8%bb%a2%ef%bc%93
    が起こらないように注意しましょう。

脚を広げていくときに基本軸が必ずと言っていいほど動いてしまいます。

そこで、脚を広げてから基本軸を確認して計測するようにするとよいでしょう。

%e8%82%a1%e9%96%a2%e7%af%80%e5%a4%96%e8%bb%a2%ef%bc%95

自分で動かしてもらう場合には、代償動作への注意を促しながら脚を広げるように声をかけます。

%e8%82%a1%e9%96%a2%e7%af%80%e5%a4%96%e8%bb%a2%ef%bc%96

スポンサーリンク

股関節内転

基本軸:両側の上前腸骨棘を結ぶ線への垂直線
移動軸:大腿中央線(上前腸骨棘より膝蓋骨中心を結ぶ線)
参考可動域:20°

  1. 患者さんに仰向けで寝てもらいます。
    %e8%82%a1%e9%96%a2%e7%af%80%e5%a4%96%e8%bb%a2%ef%bc%91
  2. 患者さんの検査と反対側の脚を持ち上げ、自分の太ももで支えます。
    %e8%82%a1%e9%96%a2%e7%af%80%e5%86%85%e8%bb%a2%ef%bc%92
    そして、検査する側の太ももを持って内側に足を動かしていき測ります。
    %e8%82%a1%e9%96%a2%e7%af%80%e5%86%85%e8%bb%a2%ef%bc%93
  3. このとき、患者さんの
    ・足先がまっすぐでない(外旋・内旋)
    %e8%82%a1%e9%96%a2%e7%af%80%e5%86%85%e8%bb%a2%ef%bc%94
    %e8%82%a1%e9%96%a2%e7%af%80%e5%86%85%e8%bb%a2%ef%bc%95
    ・骨盤や身体が傾く
    %e8%82%a1%e9%96%a2%e7%af%80%e5%86%85%e8%bb%a2%ef%bc%96
    などの動き(代償動作)が起こらないように注意しましょう。

脚を動かすときに基本軸が必ずと言っていいほど動いてしまいます。

そこで、脚を動かしてから基本軸を確認して計測するようにするとよいでしょう。

%e8%82%a1%e9%96%a2%e7%af%80%e5%86%85%e8%bb%a2%ef%bc%97

自分で動かしてもらう場合には、反対側の脚を支えるだけして、代償動作への注意を促しながら脚を動かすように声をかけます。

%e8%82%a1%e9%96%a2%e7%af%80%e5%86%85%e8%bb%a2%ef%bc%98

 

股関節外旋

基本軸:膝蓋骨より下ろした垂直線
移動軸:下腿中央線(膝蓋骨中心より足内果・外果中央を結ぶ線)
参考可動域:45°

  1. 患者さんに仰向けで寝てもらいます。
    %e8%82%a1%e9%96%a2%e7%af%80%e5%a4%96%e8%bb%a2%ef%bc%91
  2. 患者さんの股関節・膝を直角に曲げてから
    %e8%82%a1%e9%96%a2%e7%af%80%e5%a4%96%e6%97%8b%ef%bc%92
    %e8%82%a1%e9%96%a2%e7%af%80%e5%a4%96%e6%97%8b%ef%bc%93
    脛を内側にまわしていき測ります。
    %e8%82%a1%e9%96%a2%e7%af%80%e5%a4%96%e6%97%8b%ef%bc%95
  3. このとき、患者さんの
    ・膝が動く(主に外側)
    %e8%82%a1%e9%96%a2%e7%af%80%e5%a4%96%e6%97%8b%ef%bc%95
    %e8%82%a1%e9%96%a2%e7%af%80%e5%a4%96%e6%97%8b%ef%bc%96
    ・骨盤や身体が傾く
    %e8%82%a1%e9%96%a2%e7%af%80%e5%a4%96%e6%97%8b%ef%bc%99
    などの動き(代償動作)が起こらないように注意しましょう。

自分で動かしてもらう場合には、代償動作への注意を促しながら脚を動かすように声をかけます。

%e8%82%a1%e9%96%a2%e7%af%80%e5%a4%96%e6%97%8b%ef%bc%98

 

別法

患者さんがベッドか椅子に座っている状態で測ることもできます。

%e8%82%a1%e9%96%a2%e7%af%80%e5%a4%96%e6%97%8b%ef%bc%91%ef%bc%90

この方法だと、

  • わざわざ寝ないで測ることができる
  • 大腿骨の軸がずれる代償動作が起こりにくい

など便利な点もあります。

 

股関節内旋

基本軸:膝蓋骨より下ろした垂直線
移動軸:下腿中央線(膝蓋骨中心より足内果・外果中央を結ぶ線)
参考可動域:45°

  1. 患者さんに仰向けで寝てもらいます。
    %e8%82%a1%e9%96%a2%e7%af%80%e5%a4%96%e8%bb%a2%ef%bc%91
  2. 患者さんの股関節・膝を直角に曲げてから
    %e8%82%a1%e9%96%a2%e7%af%80%e5%a4%96%e6%97%8b%ef%bc%92
    %e8%82%a1%e9%96%a2%e7%af%80%e5%a4%96%e6%97%8b%ef%bc%93
    脛を外側にまわしていき測ります。
    %e8%82%a1%e9%96%a2%e7%af%80%e5%86%85%e6%97%8b%ef%bc%94
  3. このとき、患者さんの
    ・膝が動く(主に内側)
    %e8%82%a1%e9%96%a2%e7%af%80%e5%86%85%e6%97%8b%ef%bc%95
    %e8%82%a1%e9%96%a2%e7%af%80%e5%a4%96%e6%97%8b%ef%bc%96
    ・骨盤や身体が傾く
    %e8%82%a1%e9%96%a2%e7%af%80%e5%86%85%e6%97%8b%ef%bc%96
    などの動き(代償動作)が起こらないように注意しましょう。

自分で動かしてもらう場合には、代償動作への注意を促しながら脚を動かすように声をかけます。

%e8%82%a1%e9%96%a2%e7%af%80%e5%86%85%e6%97%8b%ef%bc%97

 

別法

患者さんがベッドか椅子に座っている状態で測ることもできます。

%e8%82%a1%e9%96%a2%e7%af%80%e5%86%85%e6%97%8b%ef%bc%98
この方法だと、

  • わざわざ寝ないで測ることができる
  • 大腿骨の軸がずれる代償動作が起こりにくい

など便利な点もあります。

 

膝関節屈曲

基本軸:大腿骨
移動軸:腓骨(腓骨頭と外果を結ぶ線)
参考可動域:130°

  1. 患者さんに仰向けで寝てもらいます。
    %e8%82%a1%e9%96%a2%e7%af%80%e5%b1%88%e6%9b%b2%ef%bc%91
  2. 患者さんの脚を持ち膝を曲げて測ります。
    %e8%86%9d%e9%96%a2%e7%af%80%e5%b1%88%e6%9b%b2%ef%bc%92
    %e8%86%9d%e9%96%a2%e7%af%80%e5%b1%88%e6%9b%b2%ef%bc%93
    このとき、足裏はベッドから浮くようにはしておきましょう。
    %e8%86%9d%e9%96%a2%e7%af%80%e5%b1%88%e6%9b%b2%ef%bc%94

自分で動かしてもらって図ることもできます。

%e8%86%9d%e9%96%a2%e7%af%80%e5%b1%88%e6%9b%b2%ef%bc%95

 

別法

患者さんにうつ伏せになってもらい膝を曲げて測ることもできます。

%e8%86%9d%e9%96%a2%e7%af%80%e5%b1%88%e6%9b%b2%ef%bc%96

このとき、太ももの前面の筋肉の硬さによってお尻がベッドから浮く(Ely sign)こともあります。

%e8%86%9d%e9%96%a2%e7%af%80%e5%b1%88%e6%9b%b2%ef%bc%97

そのタイトネスを計測する(HBD:heel butock distance)のも兼ねておこなうにはよいでしょう。

 

膝関節伸展

基本軸:大腿骨
移動軸:腓骨(腓骨頭と外果を結ぶ線)
参考可動域:0°

  1. 患者さんに仰向けで寝てもらいます。
    %e8%82%a1%e9%96%a2%e7%af%80%e5%b1%88%e6%9b%b2%ef%bc%91
    このとき、足幅は自然もしくは腰幅にしておきましょう。
  2. そのままの状態で測ります。
    %e8%86%9d%e9%96%a2%e7%af%80%e4%bc%b8%e5%b1%95%ef%bc%92

 

足関節底屈

基本軸:腓骨への垂直線
移動軸:第5中足骨
参考可動域:45°

  1. 患者さんに仰向けで寝てもらいます。
    ベッドの縁から足首より先を出します。
    %e8%b6%b3%e9%96%a2%e7%af%80%e5%ba%95%e5%b1%88%ef%bc%92
  2. 足先を下に向けるようにして測ります。
    %e8%b6%b3%e9%96%a2%e7%af%80%e5%ba%95%e5%b1%88%ef%bc%93
  3. 足が内側に向く(内返し)動き(代償動作)が出やすいので注意しておきましょう。
    %e8%b6%b3%e9%96%a2%e7%af%80%e5%ba%95%e5%b1%88%ef%bc%94

ベッドの縁から出さないで計測しても構いませんが、足首を動かしやすいためその方法をとっています。

 

足関節背屈

基本軸:腓骨への垂直線
移動軸:第5中足骨
参考可動域:20°

  1. 患者さんに仰向けで寝てもらいます。
    %e8%82%a1%e9%96%a2%e7%af%80%e5%b1%88%e6%9b%b2%ef%bc%91
  2. 足先を上に向けるようにして測ります。
    %e8%b6%b3%e9%96%a2%e7%af%80%e8%83%8c%e5%b1%88%ef%bc%92
  3. 足が外側に向く(外返し)動き(代償動作)が出やすいので注意しておきましょう。
    %e8%b6%b3%e9%96%a2%e7%af%80%e8%83%8c%e5%b1%88%ef%bc%93

このとき、腓腹筋が硬いと制限がかかってしまうことがありますので、膝下にクッション等を入れて筋肉による制限が出ないようにして計測することもおすすめです。

%e8%b6%b3%e9%96%a2%e7%af%80%e8%83%8c%e5%b1%88%ef%bc%93

 

足部の外がえし

基本軸:下腿軸への垂直線
移動軸:足底面
参考可動域:20°

  1. 患者さんに仰向けで寝てもらいます。
    %e8%82%a1%e9%96%a2%e7%af%80%e5%a4%96%e8%bb%a2%ef%bc%91
    %e8%b6%b3%e9%83%a8%e5%a4%96%e3%81%8c%e3%81%88%e3%81%97%ef%bc%92
  2. 足の小指を頭側に挙げるようにして測ります。
    %e8%b6%b3%e9%83%a8%e5%a4%96%e3%81%8c%e3%81%88%e3%81%97%ef%bc%93

 

足部の内がえし

基本軸:下腿軸への垂直線
移動軸:足底面
参考可動域:30°

  1. 患者さんに仰向けで寝てもらいます。
    %e8%82%a1%e9%96%a2%e7%af%80%e5%a4%96%e8%bb%a2%ef%bc%91
    %e8%b6%b3%e9%83%a8%e5%a4%96%e3%81%8c%e3%81%88%e3%81%97%ef%bc%92
  2. 足の親指を頭側に挙げるようにして測ります。
    %e8%b6%b3%e9%83%a8%e5%86%85%e3%81%8c%e3%81%88%e3%81%97%ef%bc%93

 

コメント

*は必須項目となります。
お気軽になんでもご記入ください。
ご相談はお問合せページからどうぞ