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治療家にとって要となる骨盤・腰・股関節まわりの基本的な触診をしよう

身体の腰まわりは、治療家にとって非常に重要な位置になります。

あらゆる手技療法において大事なポイントとして捉えていると言っても過言ではないため、どんな手技療法をする方にも詳細を把握できることは大切です。

それは、『月』に『要』と書く漢字からも、その重要性はよくわかります。

実際に

  • 骨盤のゆがみをチェックする
  • 骨盤矯正をするときの仙腸関節
  • スポーツにおいては股関節をいかにうまく使うか

など、腰まわりの動きをどう評価し、アプローチしていくかは治療家にとても大切な要因です。

それが時に

「私は膝が痛いと言っているのに、骨盤矯正とか言って腰まわりばかり触って膝をきちんと診てくれない!」

などの不満を招いてしまうこともあります。

そのため、治療家や治療家を目指している方にとってはしっかり練習してもし足りることはないという重要な部分でしょう。

また、治療家でなくても

スポーツトレーナー

ボディワーク指導者

などの方も、指導やパフォーマンスアップにも密接につながりますのでしっかり触診練習していただければ、治療家でなくともスキルを向上させることにつながります。

そこで、今回は

『骨盤・腰・股関節まわりの触診』

について紹介していきたいと思います。

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骨盤まわりの触診

最初に『骨盤まわり』の触診からはじめていきましょう。

骨盤の位置関係を知ることで

『骨盤のゆがみ』

を評価することができるようになります。

立っていてもうつぶせに寝ていても触診できますが、よりたくさんの方が場所などの条件に関係なくできると便利な立ち姿勢での触診方法を中心に紹介していきます。

 

大転子(greater trochanter)

股関節を動かす主要な筋肉がたくさん集まっている場所です。

股関節の動きを意識するときの目安にすることができますので、是非触れるようになっておくことをお勧めします。

  1. 患者さんの正面で股関節付近に目線が行くように膝立ちなどになります。
  2. 患者さんは両手をだらんと下ろしたときの
    大転子2
    手首付近の位置をさぐると骨のでっぱりがあることが確認できます。
    大転子2-2
    大転子
  3. その形状を丁寧に確認していきましょう!
    これが『大転子(だいてんし)』です。
    大転子3
  4. 患者さんに軽く屈伸してもらいます。そのとき、前後にでっぱりが動けば間違いありません。

股関節の動きをきちんと作れている人は、屈伸動作などでしっかり『大転子』が動きますがうまく股関節を使えていない人は腰や膝ばかりが動いてここがしっかり動きません。

股関節の意識づけをするときに使えます。

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上前腸骨棘(Anterior superior iliac spine)

ズボン(パンツ)がひっかかる位置にある前の骨盤のでっぱり部分を

上前腸骨棘(じょうぜんちょうこつきょく)

ASIS(英語を省略してこのように言ったりします)

などと言います。

ざっと触診するのは簡単ですが、その高さや形状の左右差を感じるためには、じっくり『触診』する必要があります。

  1. 患者さんに正面向きで立ってもらいます。
    検査者は骨盤の高さに目線が来るように膝立ちなどになります。
    上前腸骨棘
  2. 手のひら全体でパンツの上縁あたりのところを押さえると『腸骨』が全体的に当たります。
    上前腸骨棘2
    その中で特に出っ張った硬いところがありますがそれが『上前腸骨棘』になります。
  3. 指で腸骨の上縁あたりを触っておき、そこから少しずつ下がっていきます。
    すると、頂点を境にやや弾力のある組織に変わります。
    このあたりを入念に触ると、1番出っ張った場所を特定することができます。
    それが厳密な『上前腸骨棘』と言えます。
    上前腸骨棘3
    上前腸骨棘2

 

腸骨稜(Iliac crest )

ウエストラインやヒップに関係する骨盤の骨の形状を把握していく作業から始めましょう!

腸骨はウエストのくびれを作っている骨になります。

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この中の縁の部分を

『腸骨稜(ちょうこつりょう )』

と言います。

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ここの部分を触診するときは、筋肉や脂肪がたくさんあるためそれらを挟んで間接的に触れることになります。

  1. 患者さんには後ろ向きで立ってもらいます。
    検査者は、ウエストライン当たりに目線がくるようなポジションに立ちます。
    腸骨稜
  2. ウエストのくびれのあたりに横からしっかり手をさしこみ
    腸骨稜2
    下に手を引き下げます。
    腸骨稜3
    すると、筋肉や脂肪越しに『腸骨稜』を感じることができます。
    このラインを『ヤコビー線』といい、第4,5腰椎の間を通る目安とされています。
  3. 『腸骨稜』の左右の高さの差をみるときには、遠慮して浅くさしこむ人がいます。
    そうすると『腸骨稜』の一番高い点をとれていないことが多いため患者さんが痛がらないように注意はしつつもしっかりさしこみます。
  4. 手の位置を内外に動かして腸骨稜を触っていきます。
    腸骨稜6

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上後腸骨棘(Posterior superior iliac spine)

こちらは、先ほどの『上前腸骨棘』と反対側の後ろにある腸骨の出っ張りの骨になります。

カイロプラクティック

骨盤矯正

をするときには、必ず触れないといけないポイントになります。

また、この位置の奥に『仙腸関節』がありますので『仙腸関節』の位置を把握するためにも必要になります。

そして、この『上後腸骨棘』の高さのラインの中心に、私たちの身体の『重心点』がありますので本当に身体の『中心』を意識するためには知っておかないといけない場所で、非常に重要視されている場所です。

前側の『上前腸骨棘』ほど、でっぱりがはっきりしていないため『触診』の難度はあがるので練習が必要です。

  1. まずはおおよその位置をみつけるために、直接肌を見れる場合はみてみましょう。
    すると、腰とお尻の間くらいに『ヴィーナスのえくぼ』とよばれる凹みが左右にあります。
    パンツをめくる時には内側に2回くらい巻きこんだら見えると思います。『上後腸骨棘』はこの近くにあります。
  2. 『ヴィーナスのえくぼ』が見つからない方は、もうひとつの探し方を紹介します。
    それは、両手を『腸骨稜』にあて
    上後腸骨棘
    上後腸骨棘2
    そのまま親指を乗せたところから探し始めるのでおおよその近い位置から探すことができます。
  3. 1番確かな方法としては、まず『腸骨稜』を触診します。
  4. 『腸骨稜』の縁に沿って後ろに下がっていくと『上後腸骨棘』を必ず通ります。
    上後腸骨棘3
    上後腸骨棘
    上後腸骨棘4
    上後腸骨棘2
    行き過ぎると高さが低くなりますので丁寧に触診していると感じることができます。
  5. これも左右の触っている感覚の違いや位置の違いなどもチェックしておくとよいでしょう。

 

坐骨結節(ischial tuberosity )

次は、椅子に座った時にお尻の硬い骨が当たると思いますがその骨が

『坐骨結節(ざこつけっせつ)』

になります。

まずは、『臀溝(でんこう)』とよばれる

『ヒップラインの下の溝』

で、女性がお尻が垂れる・・というときにはこの『臀溝』が下がってきているわけですね。

まずはこれから確認していきましょう。

  1. 男性の検査者が女性の患者さんを診るのであれば目的をきちんと説明しておかないと『治療にかこつけてお尻を撫でまわしている変態』扱いされてしまいかねませんので重々注意しておくことをおすすめします。
  2. お尻の1番盛り上がっている部分からやや下のあたりに2本の指で軽く触れます。
    坐骨結節1 - コピー
  3. ゆっくりおしりに沿って下に下げていき、
    坐骨結節2
    『臀溝』を越えたあたりで、下から上に擦りあげます。
    坐骨結節3
    そこでひっかかるところが『臀溝』です。
  4. このときの左右の高さの違いなどをチェックしておくと良いでしょう。
  5. 次はそこから『坐骨結節』を探っていきます。
  6. 『臀溝』からお尻のやや内側を押さえると硬い骨に当たります。
    坐骨結節4
    その周辺を丁寧に触って1番でっぱっている場所をみつけます。これが『坐骨結節』です。
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  7. 左右の高さの差をみておくといいでしょう!一般的には『臀溝』の左右の差と同じ結果が得られるはずです。

寝た状態での触診について

これまでは、主に立った状態でも触診できる方法を紹介してきました。

次は、立って触診はできなくありませんが、ちょっと寝てやったほうがいいかなぁって思えるものをもう少し紹介していきます。

今まで紹介した『触診』についても寝た状態でできるようにしておきましょう

 

恥骨(pubis)

『恥骨』は股間を触ることになるため、かなり慎重に『触診』しないといけません。

こちらも『触診』の主旨の説明をきっちり行い、変態と間違われないような配慮が必須になります。

触診に不必要な場所には、

  • おなかなどが冷えないように
  • 相手への気持ちへの配慮のために

タオルをかけるなどしておくとよいでしょう!

恥骨1

  1. 確実なのは、患者さんに下腹から下に下がっていくとある『硬い骨』があるところを教えてくださいと言っておおよその場所を確認しておくことです。
    恥骨2
    確認をとってからその場所から触るようにされると良いでしょう。
    恥骨3
  2. 『恥骨』と『上前腸骨棘』を結んだところに『鼠径靭帯(そいけいじんたい)』があります。
    鼠径靭帯

 

スカルパ三角(Scarpa’s triangle)

足の付け根にある

鼠径靭帯
鼠径靭帯2

縫工筋
縫工筋

長内転筋
長内転筋2

でできる三角形のエリアを

スカルパ三角2

  • スカルパ三角
  • 大腿三角

などと呼びます。

このエリアに

大腿動脈

大腿骨頭

があります。

特に、スポーツや動作を指導するときに

「股関節を意識しなさいって、実際どこに股関節があるの?」

って思う人も多いと思いますので、

『大腿骨頭』

を見つけておくことは大切です。

では、『スカルパ三角』から『大腿骨頭』を見つけるところまでみていきましょう。

  1. 患者さんを仰向けになって寝ていただきます。
    タオルはかけておくようにしてください。
    恥骨1
  2. まずは、先ほどまでに『触診』した『恥骨』と
    恥骨
    恥骨
    『上前腸骨棘』を確認しましょう!
    上前腸骨棘6
    上前腸骨棘3
    この2つを結んだところが『スカルパ三角』の1辺になる『鼠径靭帯』です。
    鼠径靭帯
    鼠径靭帯
  3. 次は『縫工筋』になります。『スカルパ三角』を知るうえでおおよその縫工筋の位置を知るのであれば『上前腸骨棘』と『膝の内側』を結んだ線を目安にしても構いません。手を膝の外あたりにあてておいて、膝を開きながら股関節を曲げるように運動してもらい、その運動を手で押さえつけて邪魔します。すると、縫工筋が緊張して盛り上がっているのを確認することができます。
  4. 最後に『長内転筋』ですが、こちらも簡単には恥骨から斜め外側下方に向かっての走行をイメージされるだけで構いません。
    長内転筋
  5. これでおおよその『スカルパ三角』がわかりました。
    スカルパ三角
  6. 次は『大腿骨頭』の触診に移ります。
    『大腿骨頭』は先ほど確認した『スカルパ三角』の中にあります。
    そして、『大転子』から
    大転子2
    約30°内上側に来たところで『スカルパ三角』の中のエリアを丁寧に押さえていきます。
    大腿骨頭1-1
    大腿骨頭2
    すると、硬い『大腿骨頭』が触診できます。
    大腿骨頭2-2
    大腿骨頭

おわりに

骨盤・股関節まわりの触診は、非常に重要なのですが

  • 手や足のようにどこでもできるわけではないので他人で練習するのを頼みにくい
  • 筋肉や脂肪が厚いため、慎重に触診しないと間違ったものを触ってしまっている

ことなどがあり、習得が難しいところです。

そのため、まずは何回も自分で触れるところは徹底して練習してから他の人に練習をさせていただきましょう!

 

ポイントを整理

自分の触りたい場所をいきなりグイグイ触らない

練習は手順に沿っておこないましょう

男性が女性に触診するときはできれば1対1ではしないこと

触診する手は常にやさしくやわらかく

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