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膝痛や腰痛持ちの方に身体にやさしい状況に合わせた正しい立ち方とは

健康でいるときにはなかなか意識することはありませんが、いったん身体の調子を崩すと普段何気なくできていたはずのことができずに苦労するという経験をされたことはあると思います。

日常生活のささいな動きの中でも特にそのことを実感させられるもののひとつに『立ち座り動作』があります。

『立ち座り動作』に苦労するものと言えば

  • ぎっくり腰などで腰を傷めてしまった場合
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  • 変形性膝関節症などで膝を傷めてしまった場合
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などがあります。

これらを傷めると、いかに自分の身体が重たくてそれを持ち上げるのに全身の筋力を使っているのかがよくわかります。

当然傷めているときには、手すりなどにつかまって立ち上がる羽目になります。

傷めてしまっているときの対応としては、

見た目なんかは二の次で格好悪くてもお構いなしで

手すりや机や人の手でも何でも頼れるものは頼って

傷めているところに負担をかけないようにすることが1番でしょう。

普段の生活に関しても同じように
『自分の負担のかけたくないところをかばうようにしていればなんでもいい』
という考え方にはなってはいけません。

きちんとした立ち座りの方法を身につけないと、部分的に負担をかえることになりそれが蓄積した結果いずれは身体を傷めてしまうことになります。

そこで、今回は身体の部分に負担をかけないで効率的に『立ち座り動作』をおこなうための基本的なポイントを紹介していきたいと思います。

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椅子からの立ち座り

『立ち座り動作』を考えていくとき

椅子からの立ち座り動作

床からの立ち座り動作

の2つのシーンが思い浮かぶと思います。

まずは、修得しやすい『椅子からの立ち座り動作』からみていきたいと思います。

椅子に座って立ち座りをする方法でも大きく2つあります。
まずは、その中でも修得しやすい方法からはじめます。

この動作方法は、

  • 最初は動きが大きいので公衆の場ですると目立ってしまう
  • 特に膝に負担をかけたくない方におすすめしたい

動作になります。

  1. 椅子に座ります。
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    椅子の高さは膝・股関節が直角になる高さか、それ以上に高い方がお勧めです。
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    椅子が低すぎると膝・股関節の曲がる角度が大きくなり難しくなってしまいます。
  2. 椅子にはお尻だけが乗るような浅掛けになっていただくことをお勧めします。
    脚は脛が床に垂直に近いくらいがいいです。
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    膝が曲がり過ぎてはいけません。
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  3. まずは、椅子で軽く背伸びをします。
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    股関節を動きの中心にしてお辞儀の練習をします。
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    意識がしにくい方は、両手を足の付け根あたりにあてておいても良いでしょう。
    このとき、背中が丸くなったり、腰の曲げ伸ばしで動きを作っていないか確認しましょう。
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  4. 両手は前に伸ばして身体を傾けるのにあわせてお尻を椅子から持ち上げる練習を何回か練習しておきます。
  5. お辞儀をする動作にあわせて、後ろから誰かにお尻を前に押し出されていくイメージを持って身体を前に移動していきます。
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  6. お尻が自然に浮いて身体が前に出始めたら前に出る勢いに乗ったまま身体を上に起こしていきましょう。
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    最初はそのまま前に足が出て前に飛び出してしまうくらいの勢いがあっても構いません。

このように

前に進む勢いに合わせて体重移動をする力を使う

身体が移動する動きに合わせて膝が自然に伸びるので、膝の力をあまり使わないで立てる

ため、慣れれば膝を傷めている方でも負担が少ないため痛みなく立つことができるようになれます。

そして次に座る動作についてですが、座る動作は立つ動作よりも簡単です。

皆さんがいつもトイレで便座に座っているイメージで座っていただくだけで大丈夫です。

より楽に座るためには、座る椅子の位置をほんの少し椅子から離れたところにするとよいです。

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そうすることで、お尻を後ろにつき出して椅子の位置にもってくる動作が
『股関節を曲げて身体を傾ける膝にやさしい動き』
へと自然に誘導してくれます。

同じ椅子の『立ち座りの動作』ですが

  • 動きが小さく実践的な立ち方
  • 腰・膝の負担を両方バランスよく軽減してくれる方法
  • できるようになるまでに少しコツが要る

動作を紹介していきます。

  1. 椅子に座ります。
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    椅子の高さは先ほどと同じでやや高めの方が最初は練習しやすいと思います。
  2. 椅子に座って軽く背筋を伸ばします。
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    どんなときも猫背などの不良姿勢で行うと腰・膝に負担をかけてしまいますので気をつけましょう。
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    椅子には浅く掛けることも同じです。
  3. 先ほどは脛が床と垂直に近くしましたが、片脚はそのようにしておき反対の脚は今回少し膝を曲げ脚を後ろに引きます。
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    どちらの脚を引くかは自分のやりやすい側で決めてください。
  4. こちらもお辞儀の動きは使いますのでできるようにしておきましょう。
  5. 浅く(30°弱)お辞儀をしていきますがお辞儀が浅いので顔は正面を向いたままで行えます。
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    お尻を後ろに引きあげる意識でお尻を浮かせ、同時に身体を天井方向に伸ばしていきます。
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これらの動作を流れるように行うことで負担が少なく立つことができます。

このとき、やや下半身を捻った形で立つ方法もあり、こちらも慣れれば余計な力を使わずに立てるようになります。

これと似た立ち方で、一般的に腰にやさしい立ち方と言われているものがありますのでこちらもあわせて紹介しておきます。

  1. 椅子に座ります。
    椅子の高さについてはこれまでと同じです。
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    そして、椅子には深く掛けるようにします。
  2. 両膝を少し曲げておきます。
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  3. 身体をまっすぐにして、上に身体をひき上げていきます。
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    このとき、膝の伸ばす力で立ち上がっていきます。

確かにこのように立つ方法は、腰への負担は非常に少ないため『ぎっくり腰』の方などは指導されなくても自然にこれに似た立ち方をされます。

ただし、この立ち方は腰への負担は軽くなりますがその腰の負担の分が全部膝にのしかかってしまうため膝への心配はぬぐえません。

そのため、お勧めの方法はコツを修得しにくいですがひとつ前に紹介した方法が全体的なバランスのとれた立ち方になります。

うまくできるようになれば、全体の動きが小さくなって自然にきれいな立ち方になっていくことでしょう。

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床から立つ方法

次に床から立つ方法について紹介していきます。

まずは、膝を傷めている女性の方であれば自然にされていることの多い立ち方から紹介していきます。

  1. 床に足を投げ出して座ります。
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    ここから四つ這いになります。
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  2. 片脚を少し後ろに引き、
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    お尻を斜め後ろ天井につき出しながら膝を伸ばしていきます。
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  3. 手を床から離して身体を起こします。
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この方法であれば、膝に負担をかけることがあまりなく立てますので自然にされる方が多いですが、身体の柔軟性がある程度以上ある方でないとできませんのでできる方は限定されてしまいます。

次に少し膝に負担はかかりますが、何も考えずに立つよりはかなり身体にやさしい立ち方を紹介していきます。

  1. 床に足を投げ出して座ります。
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    ここから四つ這い、
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    そして膝立ちへと移ります。
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  2. 片足を膝を立てます。
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    このとき左右の足の幅はお互いが近づきすぎず腰幅を目安に開いておくと安定して立てます。
  3. 両手を立てた膝のところに添えます。
    何度か椅子の立ち座りでしたお辞儀の動きを練習して股関節から身体を傾ける意識を練習します。
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  4. 身体をお辞儀の動作に合わせて立っていきますが、お辞儀から立つ方向はまっすぐではなく立てた膝の方向にやや斜め向いていきます。
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お辞儀をして両手で押さえた膝のところに体重が乗るように身体を傾けながら
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そのまま倒れた勢いの続きと後ろ足の蹴りを使って斜め上に身体を起こしていきます。
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こちらは椅子でお辞儀の勢いで立つ方法の応用になります。

椅子の時のように身体がまっすぐ前に移動するのではなく、斜め前でしかも踏み込んで斜め上に身体を起こしていくことになりますので練習が必要かと思います。

  • 身体の斜め前に移動する勢いを助けにする
  • 膝の真上から体重をかけていくため普通に立つよりは膝への負担は少ない

ことから、膝の筋力が少ない方でも修得すれば立てるようになる立ち方です。

最後に修得が難しいですが、うまくいけば見た目の動きが派手でなく身体の負担がかかりにくい立ち方になります。

  1. 床に足を投げ出して座ります。
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    ここから正座へと移ります。
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  2. お尻を浮かせて足の指を立てて
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    踵にお尻を乗せます。
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  3. 片足を少し前に出して片膝立ちになります。
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  4. お尻を後方に引く意識と身体を上に伸びる意識を同時に起こし一気に立ちます。
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座るときには、片足を少し後ろに引いてからまっすぐストンと身体を下ろしていくと自然に座れます。

この動作は、他にも立ち方がありますが他の方法はもっと難しくなりますので今回はこの方法までの紹介とさせていただきます。

こちらは慣れると、身体が直立のまま立てますので所作が非常にきれいになりますし機能的ですので是非とも修得しておきたい立ち方です。

 

おわりに

『立ち座り動作』にはいろいろな方法があります。

そのどれがみなさんにとってあっているのかはその人それぞれだと思います。

もしかすると、今されている『立ち座り動作』が意外に理にかなっているということも考えられます。

では、自分にとってうまく動作ができているのか?ここに紹介したやり方を練習してみたけど機能的にできているのかどう確認すればいいのかその簡単なポイントを2つ紹介しておきます。

  1. 見た目に不自然でないか
    最初は不自然で動きが大げさであってもきちんと修得がすすめばどの動きもそれなりにきれいな所作へと変わっていきます。そのため、まわりから見て不細工な動きであったり、固かったりするならばまだまだうまくできていないものと判断してよいでしょう。
  2. 連続10回やってみる
    機能的に動きができるようになっていれば10回くらい連続で立ち座りをしたくらいでは何も身体に堪えません。もし、未修得であったり身体のどこかに負担をかけていれば10回実施した後に、その部分がすごい疲れています。それらを確認してみるとよいでしょう。

最初にも書きましたが、痛みがすでにある方の場合は今回の方法ができないことがあります。

できれば、健康な内から身体を傷めないような身体づくりをするための予防の一環として取り組んでいただけるのが1番お勧めの方法です。

治療加であっても一朝一夕では修得できないと思いますが患者さんへの日常生活動作指導は欠かせませんのでできるように是非練習してみてください。

 

ポイントを整理

急性症状のある時には無理しない

負担のかからない動作=機能的な動作=所作の美しい動作

健康な今こそ修得すべし

患者さんの真の治療へとつながる大切なこと

自分ができなきゃ他人に指導できませんからね

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