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腰に原因がある神経障害の影響などをみれる徒手筋力検査とは!

「最近歩いているとよくバランスを崩しそうになる・・」

「スリッパを履くとすぐに脱げてしまう・・」

などを訴える患者さんはご年配であればよく耳にすることではないでしょうか?

これは、加齢によって

バランス能力の低下

重心の降下

などの変化が誰にでも起こってくるためどなたにも起こってきます。

しかし、その筋力の低下の原因が加齢ではなく『坐骨神経痛』を代表とした神経症状としての筋力低下で起こっている可能性もあります。

問題に対する原因それぞれにあわせて

加齢による問題
→筋力強化、バランス訓練など

神経痛による問題
→神経痛を改善させるべき治療

と最優先する対処方法が変わります。

それらを正確に把握し、経過をみていくには最初に正しい検査手技で『徒手筋力検査』を行いきちんと患者さんの状態を記録しておく必要があります。

今回は、患者さんの歩行などの生活動作に直接影響を及ぼしやすい

  • 膝関節
  • 足関節
  • 足趾

の関節運動についての『筋力検査法』を紹介していきます。

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膝関節 伸展

人体の筋肉の中で最大級のボリュームを誇る『大腿四頭筋』を使う
『膝関節 伸展』
の動作は、老人や女性・子供かなり力が強く発揮できます。

そのため、スポーツマンの『腰椎椎間板ヘルニア』などでする場合には、吹っ飛ばされないようにしっかり全体重をかける心と身体の準備をしなくてはこちらの安全が確保されません。

そのくらい本来強い力を発揮する動きなので、検査してわかりやすく筋力が低下しているということに遭遇しにくいと思われます。

そこで、やはり治療に活かすチェックとしては

  • 開始の合図から出力するまでの時間や加速のスムーズさ
  • 筋力発揮時の身体の安定感や代償動作の発生

をみておくことは非常に大切になってきます。

スポーツで蹴り足は右なのに、蹴るときによく身体がブレるのが右側なんてケースもあって、そうなればパフォーマンスを向上させるためには右の蹴り動作に伴う体幹の不安定性がなぜ起きているのか追求し問題を解消することが重要になってきますね。

 

検査の準備・手順

  1. 患者さんは、ベッドに腰かけて
    膝-伸展1
    身体を後ろへ少し倒し、両手を後ろについて身体がぐらつかないように支えます。
    膝-伸展2
  2. 検査する人は、足首の少し上に手を置いて
    膝-伸展3
    下に押さえつける力(抵抗)を加えます。
    膝伸展4
  3. 合図とともに運動をしてもらい、必要に応じ抵抗を加えていきます。
    膝伸展5

 

代償動作・注意点

  • ベッドに乗せている太ももを浮かせようとする動き(代償動作)が起こります。
    膝伸展-代償1
  • もともと内股の人は、足先が内側に向きやすくなり、
    膝伸展-代償2
    がに股の人は足先が外側に向きやすくなります。
    膝伸展-代償3
  • 身体を丸くする動き(代償動作)が起こります。
    始めにとった体勢以上に背中を丸めてしまわないようにという意味です。
    膝伸展-代償4

 

臨床や実際の治療での応用

基本的には、背筋は伸ばした姿勢で行うことを基本としますがこの動きは骨盤に付いている
・『大腿直筋』が働きにくくなる
・『ハムストリング』の伸びが強くなってしまう
ことなどで筋力を正しく評価できなくなる恐れがあります。
そうならないために、身体を後ろへ傾けることを勧めます。

膝-応用1

ベッドでなく座面が硬い椅子など行う場合には、膝裏~太ももの真ん中あたりまでの部分にバスタオルなどを挟んでおくと膝裏が痛くなく検査を行うことができます。

膝伸展-応用2

筋力が非常に強いため、最大筋力を測ることが難しい患者さんも多くなります。
そこで、臨床的に合図とともに筋力を瞬発的に発揮する反応の違いなどをみることで、対抗する筋力が弱くてもできますし、広い意味での筋力の差について考えることができます。

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膝関節 屈曲

ハムストリングを主に使う『膝関節 屈曲』の動作は、伸展のように筋肉が前から見えないことなどもあって重要なのになかなか日の当たるところにいないという存在ではないでしょうか。

  • 一般の方であれば、日常生活動作
  • スポーツ選手であれば、スポーツ動作

のときに、ハムストリングを動作でもかなり裏方にしてしまって活用しきれていないことがよくあります。

そのバランスの問題が、パフォーマンスや障害へ影響を及ぼすことがよくありますので左右の筋力差を診る筋力検査の本義に添いつつも、ハムストリングがうまく使えるのかどうかという視点でもみてみると面白いかもしれません。

慣れていない方や筋力の弱い方は攣りそうになることがあるため、配慮しておこなうようにしてください。

 

検査の準備・手順

  1. 患者さんはベッドでうつぶせに寝ます。
    そして、検査する側の膝を直角に曲げます。
    膝屈曲2
    検査する人は、患者さんの検査する側のお尻(骨盤)を固定します。
    膝屈曲3
  2. 検査する人は、足首の少し下(アキレス腱付近)に手を置いて下に押さえつける力(抵抗)を加えます。
    膝屈曲4
  3. 合図とともに運動をしてもらい、必要に応じ抵抗を加えていきます。
    膝屈曲5

 

代償動作・注意点

  • 膝を曲げやすくするために、股関節を曲げようとします。
    動き(代償動作)としては骨盤を後方に捻じって床から足の付け根を浮かせようとする動きになります。膝屈曲-代償1
  • 膝を曲げるときに、膝が外側に開いて曲げようとする動き(代償動作)が起こりやすくなります。この動きについては、最初に両足の開き具合についてピタッと閉じて検査するのか自然に開いた状態で行うのかを決めておくことが望ましいです。膝屈曲-代償2
  • 膝を曲げやすくするために、足首を曲げる動きをします。
    これについては絶対してはいけないわけではありません。
    検査者がこの動きをしてもよいとするのかしてはいけないとするのかをあらかじめ決めておくとよいです。膝屈曲-代償3

 

臨床や実際の治療での応用

主にハムストリングの筋力を検査することになりますが、ハムストリングには
・内側(半腱様筋・半膜様筋)
・外側(大腿二頭筋)
があり、そのどちら側が強く働く動かし方をしているかという癖を持っている人もたくさんいます。

それらを調べるために検査をするときの足先を

・内側(半腱様筋・半膜様筋)

膝屈曲-応用1
・外側(大腿二頭筋)

膝屈曲-応用2
に向けると各筋肉が強く使われます。

それによる筋力差などをみるのは臨床上有用なことがあります。

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足関節 背屈 と 内がえし(前脛骨筋)

この動作は、主に『前脛骨筋』の筋肉の収縮方向に沿って行います。

基本的には、「足首を反らせる(背屈)」と一般の方に支持してこの動きをされる方はあまりいません。

普通にすれば、小指側から引き上げる『外がえし』がセットでくることでしょう。

そこで、検査を行う際には最初に動きをきちんと説明して動かす練習をしておくことが重要になってきます。

 

検査の準備・手順

  1. 患者さんはベッドの端に座ります(端座位)。
    足-背屈1
  2. 検査する人は、足首の少し上の外側から足がグラグラ動かないようにつかみます。足-背屈2
    反対側の手を足の甲の内側に置いて動く足首から下の足部を押さえつける力(抵抗)を加えます。足-背屈3
  3. 合図とともに運動をしてもらい、必要に応じ抵抗を加えていきます。
    足-背屈4

 

代償動作・注意点

  • 長母趾伸筋または長趾伸筋によって、足の指(足趾)が反ってしまいやすくなります。
    足-内がえし1
    比較的自然に起こる連動のため、起こっていることが悪いわけではありませんが、
    「足指の力は抜いて足首の動きを意識してくださいね」
    と注意をうながして、検査の前に動きをしっかり確認しておくとよいです。

 

足部 の 内がえし(後脛骨筋)

足のアーチなどに関わる大切な筋肉である『後脛骨筋』をみていきますが、『内がえし』の動作をうまくできるようにするには最初の説明が大切です。

「足を内側に動かしてください」

なんて声掛けをすれば、足首が反る(背屈)動作が伴ってしまうことがよくあります。

足内がえし1

正確な筋力検査を行うには、まず患者さんに動きをきちんと確認していただくことです。

参考可動域 30°

 

検査の準備・手順

  1. 患者さんはベッドの端に座ります(端座位)。
    足-背屈1
  2. 検査する人は、足首の少し上の外側から足がグラグラ動かないようにつかみます。
    足-背屈2
    反対側の手を検査される人の足の甲側の足指の付け根をつかみ、動く足首から下の足部に逆らうように力(抵抗)を加えます。
    足-内がえし4
  3. 合図とともに運動をしてもらい、必要に応じ抵抗を加えていきます。
    足-内がえし5

 

代償動作・注意点

  • うちがえしの動き自体を最初にきちんと説明して理解してもらう必要があります。
    例えば
    「(舟状骨を触りながら)足の真ん中のこの出っ張りが内くるぶしに近づくような動き方をします」
    と説明して実際にやってもらいましょう!
    多くの方が足首を曲げて足指が上に挙がってきます。
    足内がえし1
  • 抵抗をかける手が足指(足趾)にかかると指に余計な力を入れさせてしまいます。そして、指に力が入っている場合はそれを伝えて気づいてもらうようにしましょう

 

臨床や実際の治療での応用

他の足まわりの筋力検査を一緒に行うには、ベッドでの腰かけで行うのはよいのですが、すね(下腿)がグラグラ動いてしまいやすいので、確実に行うためには横向きで寝た状態で行うとよいでしょう。

足内がえし-応用1

ただし、その種目ごとや左右検査するごとに体勢を変える必要があるため、臨床ではあまり向いていません。

ただし、全体的に診ていく中で筋力差や低下がみられより正確に計測する場合にはこの方法がよいため両方とも知っておき、状況に応じて使い分けることは有用です。

 

足部の 外がえし

『外がえし』ということ動きは、

もともと可動域が少ない

普段から単体でこのような動作をしない

ことから、患者さんに正しく動きを説明する必要があります。

また、『外がえし』を行う際には足首が

  • 下に動く+外がえし
  • 上に動く+外がえし

のがどちら側優位で動きがちになるかなども観察としては非常に面白いです。

参考可動域 20°

 

検査の準備・手順

  1. 患者さんはベッドの端に座ります(端座位)。
    足-背屈1
  2. 検査する人は、足首の少し上の内側から足がグラグラ動かないようにつかみます。
    足外がえし2
    反対側の手を検査される人の足の外側の甲から足指の付け根をつかみ、動く足首から下の足部に逆らうように力(抵抗)を加えます。
    足外がえし3
  3. 合図とともに運動をしてもらい、必要に応じ抵抗を加えていきます。
    足外がえし4

 

代償動作・注意点

  • 膝下の脛を捻じって(下腿 外旋)足先を外に向けようとする動き(代償動作)が起こります。
    足外がえし-代償2
  • 膝を内側に入れて足を上に挙げようとする動き(代償動作)が起こりやすくなりますので足首より上のすね・膝や太ももなどの位置が動かないようにあらかじめ伝えておきましょう。
    足外がえし-代償1

 

臨床や実際の治療での応用

座って行えない場合や正確に筋力を測ることに集中したい場合などには、横向きで寝て検査する方法がおすすめです。

足外がえし-応用1

ただし、内がえしのときと同様に、複数ある足まわりの検査を段取りよく済ますにはベッドで腰かけ(端座位)で行う方がよいため、それぞれの利点を理解した上で使い分けられるようにしておくことが大切です。

 

足関節底屈

『足関節 底屈』は筋力が強いこともあって、『つま先立ち』を自分でしてもらうという方法で行います。

『足関節 底屈』では、他の筋肉との連動がどのように出ているかを観察しながら行うと筋力の検査だけにとどまらない治療に活かす内容にすることができます。

参考可動域 45°

 

検査の準備・手順

  1. 患者さんはベッドの端か壁際や机などのそばに立ちます。
    足底屈1
    これは、検査のとき、身体のバランスをとりやすくするためにつかまる場所がある方がよいためです。
  2. 患者さんは片足を膝を曲げて片足立ちになります。
    足底屈2
  3. 合図とともにつま先立ちの運動をしてもらましょう。
    足底屈3

 

代償動作・注意点

  • 患者さんの中には『膝を曲げる=直角』など思い込みを持っている方もいますが
    足底屈-代償1
    この検査では左右が同じように曲がって床から足が離れていれば良いので曲げている膝の角度は患者さんの楽なようにしておくように伝えましょう。
  • 支えに体重を乗せて身体を傾ける動き(代償動作)がおこらないように、支えはおこなってもよいですが、あくまで軽く身体のバランスをとるために触れている気持ちでいるように伝えておきましょう。

 

臨床や実際の治療での応用

同じ方法ですが、膝を軽く曲げた状態でヒラメ筋を主として診るため検査の方法があります。

足底屈-応用1

 

足趾 背屈

検査の準備・手順

  1. 患者さんはベッドの上などで足を置きます。
    足趾背屈1
    片手で足の甲の付け根を固定します。
    足趾背屈2
    このとき、足指の動きの邪魔をする場所を間違って押さえていないか指を動かしながら確認をとっておきましょう。
  2. 検査する人は、反対側の手を検査される人の足指(足趾)の上から押さえる力(抵抗)を加えます。
    足趾背屈3
  3. 検査は、
    ・足の親指(母趾)
    足趾背屈4
    ・足の親指以外の4本の指(4趾)
    足趾背屈5
    で行うようにしましょう
  4. 合図とともに運動をしてもらい、必要に応じ抵抗を加えていきます。
    足趾背屈6

 

代償動作・注意点

  • 足首の角度はニュートラルポジションで測ります。
    足趾背屈-代償1
    必ず反対側とも同じ角度で計測できているかは注意しておきましょう。
  • 足首が一緒に曲がってくる運動(代償動作)が起こってきますので、サポートの指でしっかり足部をつかんで代償動作が起こらないようにしましょう。
    足趾背屈-代償2

 

臨床や実際の治療での応用

腰椎椎間板ヘルニアなどによる顕著な筋力低下がみられやすい動きになりますが、足趾は動きが小さく・筋力ももともと大きくありませんので普段からしっかり練習しておかれることをお勧めします。

 

足趾底屈

参考可動域

MP底屈:35°,IP底屈:母趾60°,足趾35°(PIP),50°(DIP)

検査の準備・手順

  1. 患者さんはベッドの上などで足を置きます。
    足趾背屈1
    片手で足の甲の付け根を固定します。
    足趾背屈2
    このとき、足指の動きの邪魔をする場所を間違って押さえていないか指を動かしながら確認をとっておきましょう。
  2. 検査する人は、反対側の手を検査される人の足指(足趾)の下から持ち挙げる力(抵抗)を加えます。
    足趾底屈1
  3. 合図とともに運動をしてもらい、必要に応じ抵抗を加えていきます。
    足趾底屈6

 

代償動作・注意点

  • 足首の角度はニュートラルポジションで測ります。
    足趾底屈-代償1
    必ず反対側とも同じ角度で計測できているかは注意しておきましょう。
  • 足首が一緒に曲がってくる運動(代償動作)が起こってきますので、サポートの指でしっかり足部をつかんで代償動作が起こらないようにしましょう。
    足趾底屈-代償2

おわりに

今回見てきました、膝から下の関節運動についての筋力は、立位や歩行のバランスを普段とっているところになります。

神経痛なのか加齢なのか、正常なのか問題なのかみていくことは非常に大切です。

検査している関節の筋力を測定するのはもちろんですが、

  • 通常の動きをするときに他の筋肉との連動はどう出るか
  • 筋肉の出力時の加速や安定性

などを観察していくことで、その方の姿勢制御の癖や身体の使い方などのヒントを得ることができます。

それと、患者さんの問題になっている状態との関連を見出すことができれば治療へとうまくつながっていけるようになるでしょう。

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