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治療に活かせる『徒手筋力検査』股関節の筋力・筋バランスを評価

筋力を検査することでたくさんの情報を知ることができます。

それは、筋力が強い・弱いで筋肉のボリュームの違いがわかります。

しかし、その筋肉の働きを制御しているのは『神経』なので、『神経』がきちんと命令が出せているかを知る事にもつながります。

また、治療家であれば同じ筋力を発揮するといっても、一般的な筋力検査のような全力でどれだけ力が出せるか(最大筋力)だけではなく

  • 出力までの速度が素早く加速が早いか?
  • 代償動作がでないように身体を安定させて出力できているか?

というところを診るのも臨床的には有意義な情報になります。

そこで、今回は

一般的な筋力検査

臨床的に使いやすい、情報が得られやすい筋力検査

についてまずは股関節の屈曲・伸展の動きについて紹介していきたいと思います。

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股関節屈曲

股関節を曲げるという動作は、

靴や靴下を履く

階段を上る

などの日常生活の基本的な動作で行っています。

しかし、よくよくみてみるとその股関節の曲げ方は人それぞれです。

それらを診ることも非常に有用な情報を得られます。

また、腰痛の時などには『腰神経』に問題が起こっていないかを調べるときによく使われる動作でもあり、体幹をいかに固定して出力できるかを診るのにも有用な動作です。

他の動作に比べ、検査動作自体が身体に負担をかけることも少ないため、筋力検査の基本をしっかり学ぶという意味でも使いやすい動作です。

 

検査の準備・手順

  1. 患者さんはベッドの端に座ります(端座位)。
    屈曲-検査1
    身体(体幹)が安定した状態で検査をおこなうためにベッドの縁を手を置いておくように伝えます。
    屈曲-検査2-2
    身体が丸くなる代償動作が起こりやすいため
    屈曲-検査3-2
    背筋を伸ばして行うように声をかけておきましょう。
  2. 検査する人は、膝のすぐ上の太ももに手を置いて下に押さえつける力(抵抗)を加えます。
    屈曲-検査4
  3. 患者さんが背中を丸めないで背筋を伸ばしながらおこなうことがうまくできないようであれば、検査する人が骨盤・腰のあたりに手を添えて丸くならない意識を向けやすくしてもいいです。
    屈曲-検査5
  4. 合図とともに運動をしてもらい、必要に応じ抵抗を加えていきます。
    屈曲-検査6

 

代償動作・注意点

  • 縫工筋や腸腰筋の働きが強くなると、膝をまっすぐ上に挙げる(股関節 屈曲)動作に加えて膝が外向きに開いていく動作(股関節 外転・外旋)が起こりやすくなります。
    屈曲-代償2
    検査を行うときには、『左右がきちんと同じ動きをしていること』は絶対に守らないといけません。
    そこで、
    ・膝をまっすぐに挙げる動きをするとき(股関節 屈曲)屈曲-代償1・膝を外向いて曲げていく動きをするとき(股関節 屈曲・外転・外旋)屈曲-代償3のそれぞれをきちんとわけて検査することを勧めます。
  • ・股関節を曲げる意識が普段からできていない人
    ・股関節を曲げる筋力が弱かったり、かかる抵抗が強力だった場合
    には、身体(体幹)が後ろに倒れて背中が丸くなる代償動作が起こりやすくなります。屈曲-代償4
    これについては、出ないように行うことを基本としておきます。ただ日常生活動作に近い動作での筋力を評価するという目的などであればこの代償動作を使ってでもできる最大の筋力をはかることも有用な場合はあります。

臨床や実際の治療での応用

臨床的に『腸腰筋』を主とした筋力の左右差を診るときなどでは、仰向けで検査を行う方法もあります。

  1. 患者さんは仰向けで寝ます。
    屈曲-応用1
  2. 検査する脚を軽く開きます。(股関節 外転)
    このとき、腸腰筋の筋肉の走行の延長線上に来る角度を(10°程度)目安に開きます。
    屈曲-応用2
  3. 足先は外側に向けて(股関節 外旋)
    屈曲-応用3
    少し床から足を持ち挙げます。(股関節 屈曲)
    屈曲-応用4
  4. 患者さんには、合図に合わせてその場所で浮かせて体勢を保つように伝えます。
  5. 合図とともに支えている手を離し上から床に向かって押さえつけます。
    屈曲-応用5
  6. この時の筋力の強さや反応の速さなどを左右で比較します。

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股関節伸展

股関節を伸ばす、伸展という動作は前に進む人の機能上あまりその動きの範囲は広くなく、意識されにくい動きです。

歩行の蹴り足

しゃがんでいるところから立つ

などの動作で起こっている動きですが、股関節を曲げる動きほどその動きを自覚されている人は少ないです。

そのため、この動きをしっかり股関節単独で行うことができる方も少なく、腰の反る動作が主体になってしまう方が非常に多いです。

股関節の伸展を評価したいといっても『腰痛』の方に何回もやってしまっては検査で身体を痛めてしまうことにもなりかねません。

そうならないようにいかに代償動作を抑制しながら検査できるかが大切になってくる検査です。

検査の準備・手順

  1. 患者さんはベッドでうつぶせに寝てもらいます。
    伸展-検査1
  2. 検査する人は、患者さんの検査する側のお尻の上側を押さえます。
    伸展-検査2
    このとき、間違えて腰を押さえてしまうと代償動作が出やすくなってしまいますので注意しましょう。
    伸展-検査3-2
  3. 検査する人は、膝裏のすぐ上の太ももの裏側に手を置いて下に押さえつける力(抵抗)を加えます。
    伸展-検査4
  4. 患者さんに足の付け根から足を持ち挙げるように(股関節 伸展)動きを説明し理解してもらいます。
    伸展-検査5
    一般的には、腰の反りも一緒に起こすものです。
    伸展-検査6-2
    その違いを確認してもらっておきます。
    顎を軽く引いておくようにしてから検査を始めます。
  5. お尻の上に乗せた手を床に押さえつけて腰の反りが起こらないようにします。
    伸展-検査7
  6. 合図とともに運動をしてもらい、必要に応じ抵抗を加えていきます。
    伸展-検査7

患者さんの体勢は

脚全体を伸ばしている
股関節 伸展筋を全体に使った動きの筋力を調べる

膝を曲げている
ハムストリングがあまり使えないようにして、殿筋を中心とした動きの筋力を調べる

と目的に応じて変えて行うようにしましょう。

  • 股関節伸展筋群全体の検査
    伸展-検査9

大殿筋単独の検査
伸展-検査10

 

代償動作・注意点

骨盤がベッドから浮くことがよくあります。その時には

腰が反り(腰椎 伸展)

骨盤が持ち上がる(骨盤 後方回旋)

伸展-代償1
の動作がセットで起こりやすくなります。

  • この動作(代償動作)を含めた脚を後ろに挙げる(股関節 伸展)筋力を調べるのか
  • 股関節のみの運動での筋力を調べるのか

きちんと検査する側が目的を決めてそれに合った動きを患者さんに伝えることが大切になります。

腰が反る動作を伴うように行う際の注意には、患者さんが『腰痛』を持っている場合には腰に負担がかかり、腰に違和感・痛みを起こしてしまう可能性がありますので十分な配慮をするようにしましょう。

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臨床や実際の治療での応用

膝を曲げて行う(殿筋を主にみる)検査は、反対側の大腿直筋が強く伸ばされます。そのとき、大腿直筋が硬いことが原因で足を挙げにくくなって正しく筋力を測ることができない場合もあります。

その場合には、

  • ベッドに上半身だけ乗せて足は床に着いて行う
    伸展-応用2
  • 四つ這いで行う
    伸展-応用1

などの体勢で行ってみると大腿直筋の伸ばされる量が少なく大腿直筋の影響を受けないで検査することができます。

どちらの体勢でも要領は同じになりますので、どこでもできる
『四つ這いでの方法』
を例に紹介します。

  1. 患者さんに四つ這いになってもらいます。
    伸展-応用-四つ這い1
  2. 患者さんに腰が反らないようにおなかを軽く凹ませるように伝えておきます。
    伸展-応用-四つ這い2
  3. 患者さんの検査する側の脚を膝の少し上の太ももを持って上に挙げます。
    伸展-応用-四つ這い3
    このとき、膝を曲げるか伸ばしたまま行うかは、検査したい筋肉群によって目的にあう方を選びます。
  4. ・手を離した状態で足を動かさず浮かしておければ『③』
    伸展-応用-四つ這い4
    ・上から太ももの裏側を押さえた抵抗に耐えることができれば『④』
    伸展-応用-四つ這い5
    ・強い力にも耐えることができれば『⑤』
    伸展-応用-四つ這い6
    と評価します。

四つ這いでの検査では、上半身が比較的自由に動くことができますので、

  • 腰が反ったり、骨盤がねじれたり
    伸展-応用-四つ這い7
  • 肘が曲がったり顎があがったり
    伸展-応用-四つ這い8

などの動作が起こりやすいです。

それらの連動の起こりやすさやどの動きとの連動が出やすいかなどを観察することは臨床上有益な情報を得ることになります。

次に、

うつ伏せになれない場合

四つ這いと同じで連動(代償動作)の観察を行う場合

などには、あおむけで行うこともできますし、方法も簡単なので非常に使いやすい検査方法です。

  1. 患者さんには仰向けで寝てもらいます。
    伸展-応用-仰向け1
  2. 検査する側の踵をつかんで、検査する人が30~45°程度脚を持ち挙げます。
    伸展-応用-仰向け2
  3. 踵を床に着けるように力を入れるように患者さんに伝えます。
    伸展-応用-仰向け3
  4. ・踵を持った手を下に押さえつける力が加わっている場合は『③』
    伸展-応用-仰向け4
    ・お尻や骨盤が床から持ち上がっていった場合は『④』
    伸展-応用-仰向け5
    ・股関節が完全に伸展するまで骨盤・腰が浮いた場合は『⑤』
    伸展-応用-仰向け6
    と評価します。

この検査方法では、

  • 瞬発的にきちんと反応して力を発揮することができるか?
  • 検査する人がじっくり観察しながら行うことができる
  • 股関節の運動をおこなうときの体幹の筋肉群の協調性についての評価などもできる

ことから、臨床的にはお勧めしたい検査方法です。

今回は、股関節の『屈曲・伸展』の動作についての筋力検査を紹介してきました。

股関節の『外転・内転・外旋・内旋』という他の動きにつきましてはこちらで紹介しておりますのでご覧ください。

股関節の複雑な動きの筋力を正しく評価する徒手筋力検査法について

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