You are here:  / スキル(治療技術・知識) / 肩が痛くてうずいて寝られないとき、痛みを楽にする寝方のコツは

肩が痛くてうずいて寝られないとき、痛みを楽にする寝方のコツは

1日の生活が終わって疲れがたまっている状態のときに
「あぁ~今日も1日つかれたなぁ~」
と、その疲れを癒し明日への活力を養うために床につきます。

そして、快適な睡眠をとることで次の日が1日快適に過ごせるようになるものです。

しかし、身体を傷めている方にとってはその『睡眠姿勢』によって負担となって痛みが生じてしまい目覚めてしまうこともあります。

1番一般的なのは、『腰痛』をお持ちの方で
「仰向けに寝てると腰が痛くて目が覚めてしまう」
というお話をよく耳にします。

このような『腰の痛み』については詳しく知りたいと思われた方はこちらの記事を参考ください。

『寝ていると腰が痛い』腰痛もちでも楽に寝るための指導ポイント

『腰痛』以外にも

  • 五十肩などの肩の痛みが寝ているときに疼く

などで寝られないという方がいらっしゃいます。

そういったとき、少しでも快適に寝るためにできる工夫の仕方について紹介してたいと思います。

スポンサーリンク

 

肩が痛いのには四十肩が多い

肩に痛みがあることで寝られない方はたくさんいらっしゃいます。

それは、

  • 四十肩(五十肩)
    adhesivecapsulitis
  • 肩関節周囲炎
  • 凍結肩
    frozen shoulder

などが主にありますがそのどれであっても『寝ているときに痛みが出る』ことはあります。

しかし、その『寝ているときの痛み(夜間痛)』がものすごく出やすいのが

四十肩(五十肩)

肩関節周囲炎

の初期です。

その間は、痛みが辛いのは確かですが、何よりもこの
『肩が寝ているときにジンジン痛んで寝られない』
ことで寝不足になり、
日中にも痛みが肩を動かせないことで肉体的・精神的に疲弊しきってしまうという大変つらい状態になります。

この肩の痛みについて病態や経過などをまず確認しておきたいなと思われた方はこちらをごらんください

四十肩(五十肩)とは?原因や症状など基本から治る過程や期間まで

 

肩が痛いときの寝る姿勢

では、このような肩の痛みで寝られない人がよくされる『寝る姿勢』をみてみましょう!

『あおむけ』であれば、体にぴったり腕をつけてお腹に手を乗せるような姿勢になります。

仰向け寝

『あおむけ』は痛みが『横向け』より比較的出やすい方が多いため、『横向け』で寝る場合は痛い側の肩を上にして身体にピタッと腕をくっつけて寝るケースが多いです。

横向き上半身

おおよそこのような『寝る姿勢』をとられます。
これは自分が自然に痛みから逃れようとしてあれこれした結果たどり着く『姿勢』なので、ほぼ満点に近い正解なんです。

そのため、ここでは
「この『寝る姿勢』をなぜとるのか?」
という理由を探ることからみえる『寝る姿勢』のポイントをまとめて紹介していきたいと思います。

その理由を探るにに必要な肩の構造・機能から確認していきましょう!

スポンサーリンク

 

1、肩甲骨面(scapula plane)

僕たちの身体は、上から見たときに樽のような楕円っぽい『胸郭』の後ろ側にピタッと羽のように『肩甲骨』がへばりついています。
よって『肩甲骨』は、身体に真横になって付いているわけではありません。

そのため、仰向けに寝て床に背骨をつけた状態からみれば約30°の角度が付いて浮いています。

肩甲骨面30°
もちろん、実際はふとんが沈み込むことでこの浮きは少なくなりますがそれでも多少の浮きは出ます。

そのやや斜め上に向かって角度の付いている肩甲骨ですが、肩が機能的に運動するときにはこの『肩甲骨』の向いている角度に合わせておこなうと良いと言われています。

肩甲骨-角度1

肩甲骨-角度2

肩甲骨面-模型3
肩甲骨面-模型4

この角度で動かすのが、肩の筋肉に部分的な緊張が少なく行える自然な角度なわけですね。
そのため、みなさんは普段何気に腕を挙げるときは、おおよそこの『肩甲骨面』上のラインを通ります。

まっすぐ横に挙げるのは
『ラジオ体操』
などのときでしょうね。

物を持たずに一時的な体操でする分には構いませんが、荷物を持ったりしているときにこの位置で挙げると肩に負担がかかってしまいますのでご注意ください。

実際寝てみて腕を布団の上に置くと、『肩甲骨面』から腕の位置がずれてしまいます。

この位置であれば、
肩の前方の組織(筋肉など)に緊張が起きて
しまいます。

肩を傷めていない方であればもちろん問題ない程度です。
しかし、肩を傷めている方にとってはこのささいな負担も大問題になります。

「肩の負担をすこしでも減らしたい」
と思われた方は、『肩甲骨』と『腕(上腕骨)』の角度をなるべく合わせていくのが望ましいのです。

それには、『腕(上腕骨)』の位置を上げる必要があって、『肩』の後ろ側にバスタオルやクッションなどを挟んで高さを作ってやることが肩にやさしい『寝る姿勢』づくりになるのです。

仰向け肩クッション

ポイント:あおむけで寝るときは、肩から腕にかけて後ろ側にクッションなど何かを敷いてあげると良い

 

2、肩の捻じれ

次は、肩のポジションをどうしておくのが『肩関節』にとってやさしいことになるのでしょうか?
それを肩の捻じれのポジションの観点でまず考えます。

『肩関節』は、人体で1番自由度の高い関節であることからいろいろな動きができます。

その中で『捻じれ』の動きといえば

  • 外旋(がいせん)
    外側に捻じる動きになります。
    手でみれば親指が外側に向いていく動きになります
    外旋
  • 内旋(ないせん)
    内側に捻じる動きになります。
    手で見れば小指が自分の身体に向くような動きになります。
    内旋

この2つの動きには、お互いで比較すると

  • 外旋
    肩関節の求心性が高まり、関節内圧が上がる
  • 内旋
    肩関節の求心性が低くなり、関節内圧が下がる

特徴があります。

『肩関節』は炎症を起こしているときのため、関節内はなるべくゆったりしておいてほしい状態。
そのため、肩関節は
『内に巻いた状態(内旋位)』
にあるほうがいいんですね。

寝ている姿勢を考えていればこれは自然にしていますが、その捻じれで関節内を少しでも緩めて楽にしようとしていたと考えられるんですね。

ポイント:肩関節のポジションは、軽く内に捻じる(内旋)ほうが楽

スポンサーリンク

 

3、関節包の緊張バランスをはかる

筋肉のバランスとしては、おおよそ『肩甲骨面』にあわせておくのがいいことは確認できました。
あと、知っておきたいのは、『関節包』の緊張に偏りが出ない角度についてです。

関節を包んでいる袋みたいなものですが、これが変に部分的に突っ張ることも避けたいことです。

これに似たもので
『良肢位(りょうしい)』
というのがあります。

この2つにつきましては、

  • 関節包の緊張がゆるいポジション関節包-角度
    『肩甲骨面での肩関節30°挙上でねじれは生じていない(中間)位置』
  • 良肢位(関節が1番楽なポジション)肩関節-良肢位 正面
    肩関節-良肢位-横
    『肩関節が、外転60~80°、屈曲30°、外旋20°の位置』

です。

これらを比較してみると、かなり似ていますがねじりがあるかないかに違いがあります。

ただ、先ほどの
『捻じれは外より内にしておこう』
という捻じれの学びから考えますと、
『良肢位』より『関節包の緊張を一定にする肢位』
を選ぶといいですね。

ポイント:肩甲骨面上で少し腕を挙げたくらいの位置にするのがいい

関節包-角度

 

4、寝る位置を高くする

あと、肩がすごく痛い方の中には
「寝転ぶとどんな体勢をとってもジンジン痛んで寝られないから、ソファで寝ています」
という方がいらっしゃいます。

これは、どの向きにして寝ても腕に対して重力がまともにかかるため、

  • あおむけ
    肩関節前面が突っ張るように腕が床方向に沈む力
    仰向け肩沈み込む力
  • 横向け
    腕が内側に沈み込んで肩関節の外側が沈み込む力
    横向け肩沈み込む力

その重みによる刺激が肩まわりに直接かかることが考えられます。

そこで、

リクライニングした椅子やソファ

もしくは上半身にクッション・バスタオルを入れて

角度をつけるなどで寝ることで重力面と腕の軸を合わせることができ、その負担を受けずに済むことができるようになります。

上半身クッション

ポイント:なるべく身体を起こして(角度をつけて)寝る

 

横向きに寝る姿勢での寝方のポイント

では、これらの学びを実際の寝る姿勢に活かしていきたいと思います。
まずは、比較的重症の方は『あおむけ』になれない人が多いこともあり、『横向きの姿勢』から考えていきたいと思います。

 

ポイント1:『痛い側の腕を上にして寝ること』

痛い側の腕を下にして寝ると、

肩甲骨の向きと腕の位置が一致しやすい

腕の挙げる角度も腕が床に着いているため角度をつけやすい

ことから悪くない姿勢ではあります。

しかし、
『傷めている肩を床で圧迫してしまう』
という最大の欠点があり、この圧迫刺激で『痛み』を生じさせてしまいます。

そのため、やはり
『痛い側の腕は上側に向けて寝ること』
を選択する必要があります。

 

ポイント2:『肘上に何か巻き付ける』

横向きで寝て身体に腕をぴったりくっつける寝方でももちろん構いません。
ただ、こうすると、肩の外側がやや突っ張ってジクジク痛むことに対してまだフォローしきれません。

ここで少しだけ腕を開くためにバスタオルなどをわきの下肘の位置あたりに挟むようにします。

  • バスタオルやブランケットを肘のそばの位置にかける
    わきに挟むと余計肩の外側にテンションがかかってしまいますので、わきには挟まずに肘から少し上くらいの範囲で挟むようにしましょう!
  • 肘上にタオルなどを巻き付ける
    上の方法が簡便なのですが、これだと寝返りがまったくうてません。
    そこで、肘上のところにタオルを巻き込んで留めておくことで自然に肘の位置が開くようにします。
    これだと寝返りで仰向けになった時も肩が下がりにくくなる効果も期待できます。
肩バスタオル

ポイント3:上半身に傾斜をつける

横寝であってもあおむけであっても上半身に角度をつけるようにして寝てみましょう!

ホテルなどの大きいクッションみたいな枕あれば楽ですが、普通はありませんのでクッション・バスタオルなどを重ねてゆるやかにでも傾斜ができるようにしましょう!

横向き寝傾斜

 

あおむけで寝るときのポイント

最初の痛くてあおむけができない頃には横向きで寝ることをしますが、
「同じ横向きでずっと寝ていると反対側の肩が圧迫され続けて痛くなってくる」
という問題が起こります。

そのため、いつまでも横寝だけしていればいいというわけにはいかなくなります。
そこで、時期をみはからって可能になってきたら『あおむけ』もしていきましょう!

そのとき、『寝る姿勢』のポイントをまとめます。

 

ポイント1:肩から肘までの高さを上げる

『クッション』か『まくら』、『バスタオル』などを用意し、それを

肩甲骨の浮きが出るところあたりから

肩・腕から肘まで

を乗せるようにして肩の前面に突っ張りが出にくいようにしましょう!

仰向け肩クッション

 

ポイント2:肘に何か巻き付ける

これは寝返りをしてしまって横向きに寝ることを考えたときに有効になる方法です。

肘の上の腕のところに『タオル』などをくくりつけ厚みをつくります。
もちろん腕をグルグル巻いていればいいわけなのでギュッと縛ったりする必要はありません。
巻く量で腕の上がりも変わりますのでそこの微調整はみなさんに行っていただく必要があります。

仰向け肩バスタオル

ポイント3:上半身に傾斜をつける

あおむけでも横向けと同様に上半身に角度をつけるようにして寝てみましょう!

上半身クッション

 

ポイント4:身体を痛くない側にずらして寝る

痛みがある側に上半身が移動している状態があると、相対的に肩関節は
『わきをぴたっとくっつけた状態(内転)』
状態になります。

そこで、寝るときに上半身をぐっと
『痛い側と反対側にずらす』
と肩の外側の緊張がゆるみやすくなりますので寝る前に試してみてください。

これらを組み合わせて、少しでも寝るときに『肩関節』が負担を感じないようにしてあげることで睡眠の質をましにすることができるでしょう!

 

少しでも痛みを楽にするための体操

「少しでも肩が楽になるためにできることはしたい!」
と思われた方におすすめのエクササイズがあります。

 

背骨反らしストレッチ

『猫背』で丸まってしまっていると、『肩』の状態はあまりよくありません。

それは

肩甲骨の動きが悪くなって、肩の運動をするときに肩に負担がかかる

仰向けで寝たときの肩甲骨の浮きが大きくなる

などが起こるからです。

そこで、少しでも猫背を解消するための体操を紹介します。

  1. まずは、『ストレッチポール』をお持ちの方はその上に寝ます。
    ストレッチポール1
    このとき、腕はわきにくっつけ手はお腹にあてるようにしてください。
    とにかく、不意なバランスを取るときなどに腕が自由に動いてしまうとそこでの動きで激痛が出てしまうことがあります。
  2. 仰向けに寝ます。
    そこからおなかを凹ませ腰とポールの隙間を埋めるようにします。同時に背伸びをしましょう!
    ストレッチポール2
  3. 3~5分じっくり寝ます。
  4. 降りるときは痛くない側から降りて不意な動きがでないように慎重におこないましょう!

目標回数 1~3回 

ポールの乗り降りが危ないため、1回の時間を長めにとって回数を少なくするように配慮しましょう!

 

次は、椅子などを用いる方法です。

  1. 腕はわきにくっつけ手はお腹にあてるようにしてください。
    そして椅子に座ります。
    イス1
  2. 背中に背もたれが当たるようにして背中を反らせます。イス2
    このとき足はもちあげておくとよいでしょう!
  3. 30秒程度その体勢を保ちます。

目標回数 3~5回 

まだまだできそうだと思われた方は、肩の痛みを解消するための体操をこちらで詳しく紹介しておりますのでごらんください

五十肩の治療は、痛くない安全な「ネストラ式」簡単体操で効果的に改善!

 

おわりに

『肩の痛み』によって起こる『夜間痛』は、

夜間にも続いて襲われる痛み

睡眠不足

によって、肉体的にも精神的にもまいってしまいます。

治療で少しでも早く楽にするのは治療家としては当然のことですが、その効果を少しでも高めるためには『寝るときの姿勢』指導は欠かせません。

患者さん自身がとられる姿勢はおおよそ正解ではありますが、そこを更に工夫することで
『もっと快適に寝られるようにできないか?』
アドバイスできることもひとつの治療スキルではないかと考えます。

患者さんの感覚で最終判断するという原則を守りながら少しでも『痛み』の軽減の助けになれば幸いです。

 

ポイントを整理

肩の『夜間痛』の痛みと睡眠不足はたまらなくつらい!

重症であれば、身体を斜めに傾けてしか寝られない人もいる

あおむけができる人は、だいぶましになってきている証!?

猫背は肩の痛みを悪化させる要因

アドバイスが正解かどうかは患者さんの身体に聴きましょう!

コメント

*は必須項目となります。
お気軽になんでもご記入ください。
ご相談はお問合せページからどうぞ