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『寝ていると腰が痛い』腰痛もちでも楽に寝るための指導ポイント

慢性的な『腰痛』を抱える中年以降の方は、
「長い時間寝ていると途中で腰が痛くなるからずっと寝ていられない」  
ということをよく耳にします。

慢性腰痛のない人でも長時間寝ると
『腰がだるくなる』
などは起こります。

僕も昔は寝ることが大好きで昔は長時間(10時間を超える)寝るとだいたい起きたときに

  • 倦怠感
    体がだるくて重くて油の切れた機械ってこんなやろうなぁ~ってくらいの身体の硬さ
  • 頭痛
    だいたい昔は、たくさん寝た後の夜くらいに頭痛が襲ってくるパターンでした。
  • 腰痛
    寝腰ってやつです。
    かならず腰が重だるくてカチカチでたまりません。

がワンセットで付いてきます。

個人的には身体が1番軽いのは
「もう少し寝ていられたら大満足なんだけど・・ちょっと寝足りないかな?」
っていうくらいの僕で言えば6時間ちょいくらいですね。

僕の場合は、『寝すぎ』という一時的なわかりやすい原因があるのでいいんです。
しかし、『慢性腰痛』の方は長時間っていうほどでなく普通に寝ていても腰が痛くなります。

このこともあって、『腰痛』が主訴の患者さんには問診の最初のほうで
「寝るときはどのような体勢で寝られますか?もしくはこの体勢で寝るのが辛いというのはありますか?」  
と、うかがうようにしてます。

この問診で、仰向けができないと答えられると
「やや症状は重いだろうな・・」
と予測が立ち続きの問診・検査を続けます。

腰が慢性的に悪い方は必ずと言っていいほど
『あおむけ(仰臥位)』で寝ることができなく
なってきます。

「あおむけで寝ると途中から腰が張ったような痛みが出てきて寝ていられなくなってくるんです」
というような話になります。

もちろん、良くなるまでは無理に
『あおむけ(仰臥位)』
で寝ないように指導するのは大切なことです。

しかし、
治療家(身体の専門家)としてはどのような状態が起こっているのか知っておき、そこからもう一歩前進した助言ができる必要があります。

その痛みが起こるメカニズムを知っておかずに、
『すべての腰痛の解消方法=ストレッチ』
なんて単純な図式を作って
「それ腰の筋肉が硬い(柔軟性が低い)からストレッチしておけばいいですよ」
なんて素人みたいな指導をして患者さんがいつまでも良くならない結果を招いてしまいます。

そこで、今回は

腰痛患者さんがなぜ『あおむけ』で寝られなくなってしまうのか?

『あおむけ』で寝やすくするためにできる工夫はどんな方法があるのか?

『あおむけ』で寝られない患者さんの『腰痛』を改善させる方法は?

などについて詳しく紹介していきたいと思います。 

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メカニズム1:腸腰筋の過緊張

『あおむけ』で寝られない『腰痛患者』さんの身体には何が起こっているのでしょうか?

比較的よく知られているメカニズム
『腸腰筋の過緊張』 
から説明していきたいと思います。

『腸腰筋(ちょうようきん):iliopsoas muscle』は、

腸腰筋2

  • 大腰筋(だいようきん): psoas major muscle
  • 腸骨筋(ちょうこつきん): iliac muscle

という筋肉から成っています。

(小腰筋というのもありますが、約半数の人がもともとない(破格)という筋肉で、作用は大腰筋と類似しているので詳細は省略させていただきます)

筋肉の付き方ついては

起始(大腰筋):第12胸椎~第4腰椎までの椎体および肋骨突起、全腰椎の肋骨突起
第12肋骨~ほとんど全部の腰骨に付いていますが直接は触れません。

起始(腸骨筋):腸骨内面
膝を三角にした仰向けで、腸骨の内側に向かって指を差し込むと間接的に触ることはできます。

停止:大腿骨の小転子
太ももの付け根にある骨の出っ張りです。

足を外に向けて足の付け根を探っていくと触ることができますがかなりわかりにくいです。

『腸腰筋』は、

  • 股関節のインナーマッスル
  • 深部腹筋にあたる

など、様々な位置づけをされていて、たくさんある『筋肉』の中でも重要な扱いをされていて比較的有名な筋肉です。

短距離走などで、腿を引き上げる動きの時に働く筋肉です。

このように『股関節』の運動を担う筋肉ですが、先ほどみていただいた筋肉の付着部で、腰からベッタリ付いていることがわかりましたね。

そのことから、『腰痛』やその他腰の状態に関係する『筋肉』であることもおわかりいただけると思います。

この『腸腰筋』も、『縫工筋』と同じように反る動きをするとき膝を開く動作が伴うことで

『筋肉が過剰に伸びること』

を防いでいます。

普段の生活で

  • 椅子に座っている
    イス1
  • 正座
    正座2
  • あぐら
    あぐら2

など、どのような座り方をしているときに比べても、足を伸ばして寝るときには『腸腰筋』が引っ張られます。

このとき、『腸腰筋』が、腰骨(腰椎)を手前に引っ張って腰を反らせる力をかけ続けることになります。

腸腰筋

それによって起こる
『腰が反らされることによる腰の負担による腰痛』
があります。

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腸腰筋を緩める方法は?

『腸腰筋』の過緊張を取り除くためには、

腸腰筋があまり伸びないようにする

腸腰筋の柔軟性をあらかじめ確保しておく

ことが挙げられます。

腸腰筋があまり伸びないようにするためには、
股関節を曲げる(股関節 屈曲)の肢位をとる
ことが大切です。

股関節屈曲

そのためにできることは、
『膝下にクッションないしまくらなどのものを入れる』
ことです。

膝クッション
これで、『腸腰筋』自体のテンションも下がり腰を反らせる力は少なくなります。

また、

  • 股関節
    軽く曲がります。
    股関節は軽く曲がっているのが関節が楽なポジションです
    (15~30°屈曲,0~10°外転,0~10°外旋。)
    股関節屈曲2
  • 膝関節
    軽く曲がっているのが関節にとっては楽です。
    (10°屈曲)
    膝10°

が『良肢位(bequeme stellung)』というポジションにもなるため、
これらの関節も楽になる効果もあります。

また、寝る前などに『腸腰筋』をストレッチしておくこともひとつです。

  1. 膝立ちになります腸腰筋ストレッチ1
  2. 片足を前に出します。腸腰筋ストレッチ2
  3. 背伸びをします
  4. 骨盤を後傾させます腸腰筋ストレッチ3
  5. 後ろ側の足の付け根の前の筋肉が伸びていることを確認します。

 

目標回数 20~30秒×2~4回

これらは、骨盤前傾などで『腰』と『布団』の間がたくさん空いているタイプの方に多い腰痛です。

あとは、浮いている『腰』と『布団』との隙間にクッションやタオルなどを入れることもされます。
ものを入れすぎて腰を突き上げないようにする必要があります。

腰クッション

もうひとつ
『腰の背骨の反りが少なくなっている(腰椎前彎不足)』
もあって、仰向けで寝られない『腰痛』の原因になりやすいです。

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メカニズム2:猫背・腰抜けによる腰部筋肉の過緊張

「あおむけで寝ていると腰がパーンと張ってくるような感じがして・・」
とおっしゃる方が多いです。

このパーンと張ってくるところは何か?
ってなると主には『筋肉』でしょうね。

脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)

腰方形筋(ようほうけいきん)

などが考えられます。

布団に寝ていると、『腰』の部分は布団から少し浮きます。
そして、そこから身体の重みで腰が丸くなるような力が加わって
『腰の筋肉群』
は少しずつ伸ばされる負担がかかっていきます。

これは、『あおむけ』で寝る方みなさんにかかっています。

普通であれば、なんてことない伸ばされ方です。
しかし、『あおむけ』で寝られない『腰痛』をお持ちの方はまわりの筋肉が我慢の限界に近付いています。
そういう方は、ほとんど前かがみの動作ができないほど筋肉が伸ばされることができなくなっています。

前かがみ

 

こういう方の場合の対処として、
『腰に何かをはさむ』
という対処をされると楽だとよく聞きます。

腰クッション

腰が落ちて丸まっていくことが負担になっている方ですから丸まるのを抑えてあげればいいわけです。

あとは、『腸腰筋の緊張』のときと同じで
『膝下にクッションを挟む』
も有効です。

膝クッション

次に考えていきたいのは、
より積極的に改善させていくためにはどのようにアプローチすればいいか? 
というところです。

まずは絶対やめておいた方がいいことがあります。

それは、
『腰のストレッチ』
です。

前かがみ

今は、腰の筋肉を伸ばすことが症状を出すことに直結しています。
それを荒療治的に伸ばすのは、うまくいけばいいですが
悪化のリスクを伴う危険なアプローチ
です。

ここは、まず過剰に伸ばされて緊張している『腰部の筋肉群』のバランスを改善するアプローチをしましょう!

『腰部の筋肉群』のバランスを1番崩しているもとは何かと考えてみますと
『猫背による背筋の過剰な緊張』
です。

これによって、『背中~腰』の筋肉群は常に伸ばされた状態になってしまっています。

これを読まれて
「じゃあ、猫背を直せばいいんだから胸を張るように指導したらいいんやな!?」
と思われるかもしれませんが、それは絶対にしてはいけません!

『胸を張る』のを意識すれば、意識のいっていない腰が実は反ってしまって『腰が痛くなる』原因になりかねません。

そこで、『腰痛』もちの方が腰への負担をなるべくかけないようにしながら『猫背』を改善するアプローチを紹介します。

 

  1. 仰向けで膝を三角に立てますドローイン1
  2. 両手をおなかの上に乗せます
    ドローイン2
  3. 背伸びをするように上に伸びながらおなかを凹ませます
    ドローイン3
  4. 乗せた手は押さえつけるのではなく、お腹が凹んでいることを確認します
  5. お尻と足の付け根あたりを天井方向に少し持ち上げます
    ドローイン4
  6. さらにおなかを凹ませ、腰骨全体をぴったり床にくっつけます
  7. もう一度背伸びをします

目標回数 5秒×10回 3~5セット

『猫背』を改善していけばそれだけで『腰部の筋肉群』の緊張が下がります。
続けていけば症状の改善は必ず見られますし、
『痛い思いをして腰を直接ストレッチしなくても』
徐々に『あおむけ(仰臥位)』で寝ることができるようにもなってきます。

「もう少し深めにエクササイズでアプローチをしたい!」
と思われた方はこちらをごらんください

『腰の筋肉が硬く張って痛い』男性に多い腰痛の解消する体操は

 

おわりに

「あおむけで寝ると腰が痛くなるからできない・・」
という方に、横向けで寝ることを指導するのは間違っていません。

しかし、それは患者さんはすでにしていますし、
『できないことはしないで他のことで対応する』
なんて当然すぎることを言われても患者さんは指導に対しての『価値』を何も感じません。

患者さんへの『価値』ある指導とは

患者さんが知らない原因を把握していて説明することで納得が得られること

指導内容を実践することで症状の改善が得られること

が必要です。
まずはこれらを把握しておくことが必要です。

患者さんの生活指導にそのままこれらを使っていただくこともできますし、このメカニズムがわかれば自分の治療の新たな切り口として使うこともできます。

 

ポイントを整理

あおむけで寝られない時は、まずは横向け寝でしのぎましょう!

この手の腰痛に『腰のストレッチ』指導は禁忌!

あおむけになると腰にどのような負担がかかるのか知っておきましょう!

猫背は腰痛の大きな原因です

症状が出る体勢を知ることは、治療への大きなヒント!

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